2024 年 11月 24日 (日)
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[KWレポート] 米国はなぜ日本の半導体をダメにしたのか。そして韓国は?(6)

「一つを与え、一つを得る」

台湾積体電路製造(TSMC)の本社©MONEY TODAY

スマートフォンから自動車まで、あらゆる電子機器に内蔵されている半導体は「産業のコメ」と呼ばれます。私たちの生活に欠かせないこの半導体をめぐり、米国と韓国が今、ギクシャクしています。日本も加えた3カ国の思惑をわかりやすく解説します。(最終回)

米国が韓国や台湾の半導体企業の手綱を引き締める理由は、もう一つある。韓国や台湾の安全保障に対して米国が影響力を発揮していることへの対価だ。韓国には「北朝鮮と対峙する際の軍事的バランスを維持する」ことに対する、台湾には「対中関係での安定を維持する」ことに対する、それぞれの“請求書”という意味だ。

加えて、新型コロナウイルスも影響を及ぼしている。感染拡大直後、米国は産業の根幹である自動車業界に半導体を安定供給できない事態に陥ったため、半導体のテコ入れを図ったわけだ。ただ、新型コロナ以後の半導体の受給不均衡は一時的なもののようだ。専門家は2022年上半期ごろには供給網が安定し、この先、今回のようなことが起きる可能性は低いとみている。

米国には憂慮すべき点がある。こうした事態が起きても、自国の半導体企業による解決能力に限界があることだ。インテルやマイクロン、テキサス・インスツルメンツ(TI)、クアルコム、エヌビディアなどのメーカーは、韓国のサムスン電子やSKハイニックス、台湾積体電路製造(TSMC)などに頼らずして解決できるわけではない。米国はこれらの海外企業に自国の企業のように動くことを望み、米国内に生産基地を設置するよう圧力をかけている。

米国の自己中心的な圧力は今後も続く――これが専門家の見方である。韓国政府や企業がこれを無視したり、乗り越えたりする道は、はるかに険しいのが実情だ。それゆえ、米国の圧力を賢く解決する方法は「一つを与え、一つを得る」ことだ。その昔、日米間で繊維製品をめぐる貿易摩擦が深刻化していた際、繊維交渉は沖縄返還と絡められて妥結に至った。「糸(繊維)を売って縄(沖縄)を買った」と言われるゆえんである。

米国の“請求書”について言えば、韓国は朝鮮戦争停戦(1953年)以後の約70年間、北東アジアの「緩衝地」としての役割を果たすことで十分に対価を支払ってきた。韓国は半導体メーカーの競争力を武器に、米国から何を得ることができるのか。韓国政府と企業が頭を突き合わせ、日々、議論すべき課題だ。

(おわり)

「米国はなぜ日本の半導体をダメにしたのか。そして韓国は?」はMONEY TODAYのオ・ドンヒ産業1部担当記者が取材しました。

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