韓国のニュースで頻繁に語られるようになった「Z世代」(1990年代半ば~2000年代初め生まれ)。インターネットが普及した環境で育った「デジタルネイティブ」であり、ソーシャルネットワークに積極参加するという特徴がある。韓国社会で存在感を増す「Z世代」の本音をどうとらえればよいのか……。
◇3つの「ですか?」
Z世代の特徴として韓国社会でよく取り上げられるのが「3つの『ですか?』」だ。
例えば、会社で上司から、業務の範囲内かどうか線引きの難しい仕事を引き受けるよう求められたら――。Z世代の職員は「私の業務ではないようです。これをなぜしなければならないのですか」と反論する。かつての韓国社会であれば、上司は「言われた通りにやれ」という態度で通用していたが、それが許される状況ではなくなった。
このようにZ世代は「これを、ですか?」「私が、ですか?」「なぜ、ですか?」と問い返し、納得したうえで指示を受け入れる傾向がある。この「3つの『ですか?』」がZ世代の特徴の一つで、上司からの指示に黙って従っていた韓国の「既存世代」は戸惑いを隠せない。
「3つの『ですか?』」とともに、取りざたされているのが「静かな辞職」。実際に退社するわけではないが、心は職場から離れ、最小限の業務だけをしようとする態度を意味する韓国の新造語だ。
この「静かな辞職」の背後にあるのが「心理的安全性」だ。
これは、米ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授が著書「恐れのない組織」で紹介した概念で、「組織の中で、自分の考えや気持ちを、誰に対してでも安心して発言できる状態」を意味する。
◇他の世代とは異なる心理的安全性
「Z世代と一緒に仕事をする際、知っておくべき重要なキーワードは『心理的安全性』だ」
ソウル市内でこのほど開かれた「2023 T-CON(Trend Conference)」の「隣のZ世代に対する誤解解消」セッション。韓国のマーケティング・コンテンツ専門家グループ「テハク・ネイル(大学の明日)」で人材成長チーム長を務めるイ・ユンギョン氏はこう指摘した。
「静かな辞職」を引き起こすのは、個人差ではなく、組織が個人に与える「心理的安全性」の違いである、という見方だ。
Z世代が考える「心理的安全性」は、他の世代とは異なる。
まず、Z世代が望むのは「定年」ではなく「発言の保障」だ。Z世代は陰口を言う代わりに「前談話(ある人がいる場でその人に対する悪口を言う行為)」によって問題点を指摘する。ユーチューブの「Vlog(Video blog)」(ブログの動画版)などを使って、組織の自慢話を広める。
そして、彼らは不平を言う代わりに退社を選択する――。(つづく)
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