◇映画やドラマより「ニュースの方が衝撃的」…視聴者を奪われたOTT
「どれだけ映画的な想像力を駆使しても妄想に過ぎないような出来事が、現実において起きた」
これは「非常戒厳」事態を招いたユン・ソンニョル(尹錫悦)韓国大統領の退陣を求めて、81の映画団体と3007人の映画関係者が8日に発表した緊急声明の一部だ。非常戒厳の発令と解除、国会での大統領弾劾案の採決や廃案。これらのニュースは、いかなる映画やドラマよりも衝撃的で、冬のピークシーズンに入ったOTT(オンライン動画配信サービス)業界にも冷や水を浴びせた。
11日のモバイルインデックスの統計によると、12月第1週(2~8日)のOTT「ティービング」の週間視聴時間は1125万時間で、今年1月第1週(1158万時間)を下回り、今年最低値を記録した。
韓国国内OTT市場の圧倒的1位であるNetflixも、12月第1週の視聴時間が1924万時間で前週比3.6%減少。特に日別では非常戒厳解除直後の4日、視聴時間が253万8000時間と、3日前(1日、339万5000時間)から33.7%急減した。
「ウェーブ」の場合、12月第1週の視聴時間は1003万時間で前週比4.5%減少。「Disney+」も同様に、12月第1週の視聴時間(172万5600時間)が前週比5.3%ほど減少した。
◇政治的混乱が続く中で注目される過去の作品
政治的混乱を想起させる過去のコンテンツは再び注目を集めている。「ウェーブ」によると、非常戒厳事態の前後(12月1~2日、4~5日)の視聴時間を比較した場合、12・12軍事クーデターを描いた映画「ソウルの春」は874.3%、5・18光州事件を題材にした映画「タクシー運転手」は1108.7%増加。同じ期間に5・18を描いたドラマ「五月の青春」も視聴時間が347%増加した。
「ソウルの春」は11日、Netflixの映画ランキングで2位に上昇。この映画は今年5月にNetflixで公開されたものだが、7カ月ぶりに「逆走」した形だ。同じ日、ティービングでは1987年の6月民主抗争を描いた映画「1987」が3位、「タクシー運転手」が10位を記録した。
「イカゲーム シーズン2」のファン・ドンヒョク監督も最近の事
態に言及して話題となった。9日の制作発表会で、ファン監督は「イカゲームがこのような状況下で公開されるのは運命的だ。荒唐無稽な対立や分裂、激変はイカゲームの場面とも関連付けられる。弾劾であれ、自発的な辞任であれ、責任を取るべき人ができるだけ早く責任を取ることを願う」と述べた。
◇「戒厳令?何が起きているんだ」
「戒厳令」がGoogle Koreaの「今年の検索ワード」総合部門で2位を占めた。45年ぶりに経験する戒厳事態に驚いた国民が、街頭だけでなくポータルサイトにも押し寄せた形だ。Naverでも戒厳後に政治ニュースのコメントが急増し、非常体制に突入した。
Google Koreaが11日、発表した「検索ワードで振り返る2024年(今年の検索ワード)」によると、「戒厳令」は「オリンピック/パラリンピック」に次いで2位にランクインした。今年の検索ワードは、Google検索で前年に比べ注目度が急増したキーワードを基準に選定される。絶対的な検索量の順位ではなく、前年比で顕著な増加を見せたキーワードが対象だ。
戒厳解除直後の4日、Google Koreaのリアルタイムトレンド1位を「戒厳令」が占めた。この間、トラフィックの急増でNaverカフェやニュースコメントなど一部機能にエラーが発生すると、外国のポータルサイトを利用するユーザーも見られた。当時、「戒厳令」の検索量は10時間で1000%増加したという。
トラフィック問題が解消されたNaverでも、戒厳の発令から現在まで多くのネットユーザーが集まっている。Naverによると、4日のNaverニュースページは歴代の災害・緊急事態の中で最多の接続量を記録した。ニュースコメントは戒厳以降、爆発的に増加している。
Naverデータラボのニュースコメント統計によると、大統領の弾劾訴追案が採決された7日には、Naverニュースに合計97万231件のコメントが投稿された。直前の週末である11月30日のコメント数(19万4710件)の約5倍に相当する数値だ。このうち8万6577件が本人により削除され、377件が規定違反で削除されたため、現在残っているコメントは88万3277件となっている。
7日のコメントのうち、政治ニュースへのコメントは全体の79.5%を占め、次いで社会ニュースが11.0%だった。特に、ユン大統領の妻キム・ゴニ(金建希)氏の特別検察法が否決され、大統領弾劾採決が始まった午後6時ごろには最多の7万4000件超のコメントが投稿された。
ユン大統領が戒厳を宣言した3日には、合計39万5947件のニュースコメントが投稿され、政治ニュースへのコメントが55.9%を占めた。戒厳発令直後の午後11時ごろには、一度に14万件以上のコメントが投稿された。戒厳が解除された4日には、削除されたコメントを含め92万3478件のコメントが寄せられ、政治ニュースが72.5%、社会ニュースが16.0%を占めた。
このような状況が続く中、Naverは非常モードに突入した。Naverは、マクロを悪用したニュースコメント操作の動きを防ぐため、特別モニタリングを実施している。弾劾政局が続く間、Naverは特別モニタリングを継続する予定で、マクロと直接・間接的に関連する部署の社員を非常待機させるなどの対策を講じている。
(おわり)
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