摘発例は氷山の一角
韓国でオンラインブランド品市場が急成長するにつれ、偽物にどう向き合うかの議論も活発になっています。プラットフォーム側は偽物見極めのプロセスを強化していますが、完璧に防ぐのはまだ難しいようです。「偽物との戦争」の現場を取材しました。(最終回)
◇被害防ぐのに要員不足
偽物製造技術が巧妙になり、偽物購買に対する消費者被害も増加する。
過去には、消費者側も偽物市場で「特S級」「ミラー級」などとして、偽物であることを認識して購入していたこともある。だが、今はオンラインを通じてブランド品公式販売が増え、本物と思ったのに偽物を買わされるケースが増えている。
当局は毎年、専門の偽流通業者を取り締まり、摘発しているが、偽物の被害を防ぐには要員が不足している。
業界関係者によると、特許庁は昨年、偽製品を流通、販売した商標権侵害事犯557人を摘発し、偽造商品8万点余りを押収した。正規販売額で言えば415億ウォンに達する。金額ではロレックスなどの時計、シャネル、ルイ・ヴィトンなどの商品が多かったが、タンブラーやゴルフ用品など、消費者需要の多い中低価格製品もあった。
業界では、摘発された偽造商品は氷山の一角だとみている。
全体の偽物市場は少なくとも数千億ウォンから多くは数兆ウォンに達すると推定されている。特許庁、関税庁、韓国消費者院など関係機関で取り締まり、モニタリングなどを通じて偽物を根絶させようとしているが、懐疑的な見方もある。「ムシンサ(MUSINSA)」の偽物事例のように公式販売先を通じても偽物が流通するほど広がっている、とみられるからだ。
◇鑑定士・鑑別士、需要に追い付かず
ブランド鑑定士・鑑別士ら、本物と偽物を区別する専門人材が生まれているが、需要に追いついていない。
韓国ブランド品鑑定院は「ブランド品を鑑定する人材は、少なくとも3年以上のたゆまぬ経験がなければならない分野だ。偽造品が日増しに精巧になっているため、専門家たちも選り分けるのが容易ではない」と嘆く。
商標権者、すなわちブランド品メーカーも偽物の根絶に積極的に乗り出さなければならない。
実際、特許庁商標特別司法警察は昨年、商標権者である米国スターバックス本社と共助を通じてスターバックスタンブラー、マグカップなどを偽造してオンライン販売した業者を摘発したことがある。
消費者も同様に、偽物の購入を避けるために注意を払うべきだと指摘する。
ブランド品購入時に提供する保証書とシリアルナンバーなどを確認するのが安全だ。製品の包装状態やポーチを提供するかどうかも細かくチェックしなければならない。小規模な海外購買代行業者はなるべく避け、低価格の製品も購買時に注意した方が良い。
購入後、偽物であることを認知した場合は規定に従って払い戻しを受けるようにする。
主要オンラインブランド品プラットフォームの場合、製品の信頼度を高めるために偽物補償制度を運営しており、偽物の場合200%の金額を払い戻している。販売者が払い戻しを拒否すれば、韓国消費者院や特許庁に申告して被害救済を受けることができる。
(おわり)
「偽ブランド品との戦い」はMONEYTODAYキム・ウンリョン、チョン・インジ、イ・ジェウンの各記者が取材しました。
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