グローバルサプライチェーン再編への対応に拍車
新型コロナウイルスの感染拡大とロシアによるウクライナ侵攻などにより、平和な国際分業体制が崩れ「グローバルサプライチェーンの危機」が深刻化しています。韓国の事情を取材してみました。(最終回)
◇資源と技術の「武器化」
最近、各国はグローバルサプライチェーンで優位な資源と技術を「武器化」する傾向にある。自国優先主義を掲げて輸出を統制する場合も多い。インドネシアのパーム油輸出制限とインドの小麦供給優先政策などが代表例だ。
米中間のサプライチェーンの二分化傾向も強まっている。
米国は「インフレ削減法」「半導体支援法」などを通じて半導体、バッテリーなど先端産業分野のサプライチェーン再編を公言した経緯がある。
こうしたサプライチェーン問題は、韓国企業に直接的な悪影響を及ぼす可能性が高い。
韓国貿易協会のキム・ギョンフン研究委員は「韓国の主力産業の中で特に半導体とバッテリー、バイオなどは米国の政策に多くの影響を受けている。これは大きな枠組みで輸出と貿易収支などに影響を与えかねない」と説明している。
これに対し、政府は「経済安保のためのサプライチェーン安定化支援基本法」の制定を推進している。政府レベルでの支援体系を整え、経済安全保障と直結する重要品目とサービスを管理する狙いだ。
各部署は所管産業に対する財政・税制・金融支援の根拠法令を策定し、別途サプライチェーン安定化基金も用意する方針だ。
合わせて「産業供給網危機警報システムおよび総合支援体系」を構築し、輸出統制(対外貿易法)、技術流出防止(産業技術保護法)、外国人投資安保審査(外国人投資促進法)など、3大技術安保政策を再整備する方針だ。
西江大国際大学院長のホ・ユン氏は「米国だけでなく多国間主義の崩壊に伴う各国の通商政策の変化に気を使わなければならない。大企業は素早く対応策を用意できるが、中小企業は世界の通商環境の変化と貿易・投資相手国の政策変化をあらかじめ把握することは難しい」と述べた。
また「政府は各国の環境変化に対して中小・中堅輸出企業に正確な情報を提供しようとする努力を強めなければならない。企業との意思疎通を強化し、さまざまな事項を2者交渉に反映しようとする努力も重要だ」と強調する。
(おわり)
「供給網崩壊」はNEWSISのコ・ウンギョル、キム・ソンジン、オ・ジョンテク、イ・スンジェ、オク・ソングの各記者が取材しました。
©NEWSIS