核心素材、中国依存度が高く
新型コロナウイルスの感染拡大とロシアによるウクライナ侵攻などにより、平和な国際分業体制が崩れ「グローバルサプライチェーンの危機」が深刻化しています。韓国の事情を取材してみました。(シリーズ4/9)
◇対外変化に脆弱な経済
韓国の輸入構造は、価格変化に脆弱な中間材を中心に組まれている。それゆえ、特定国に依存している点もやはり供給網を不安定にさせる要因だと指摘される。
国会予算政策処によると、韓国の中間材輸入比率は昨年、50.9%で1次産品(20.8%)、消費材(13.1%)、資本材(14.8%)などより多かった。
このうち、輸入中間材の中国依存度は昨年、28.4%と非常に高く、価格変化や対外環境の変化に脆弱であることがわかった。
韓国政府と産業界は、将来の競争力確保のため、独自の生産および輸入先の多角化などを推進しているが、特定国家への依存を一気に変えることは容易ではない。
特定国の依存度を下げても、再び他の国に依存するようになるケースも出ている。半導体の重要な素材の場合、日本の輸出規制以後、日本依存度を減らしたため、今度は中国依存度が高くなった。
産業通商資源省によると、シリコンウエハーやフッ化水素、ネオン、クリプトン、ゼノンなど半導体原材料5品目の中国からの輸入額は2018年に1億3981万ドルだったが、今年は3億7797万ドル(1~7月)へと170%も増加した。
◇「安米経世」通商戦略で市場多角化
ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権は、常態化したサプライチェーン危機に対応するため、産業と通商を連携した新産業通商戦略で経済安保を強固にする方針を掲げる。
政権発足とともに「安米経中」(安保は米国、経済は中国中心)から「安米経世」(安保は米国、経済は世界とともに)への路線変更を本格化させ、通商秩序を主導するため、インド・太平洋地域の新たな経済協議体の議論にも乗り出した。
韓国経済の高い中国依存度を考慮すると、市場を多角化しなければ急激な変化に大きなコストをかけるしかないだけに、リスク管理のための市場多角化に向けた努力と通商秩序主導は望ましいことだと言われている。
ただ、インド太平洋経済枠組み(IPEF)やチップ4など、米国が主導する経済協議体を中心に通商戦略が組まれ、憂慮する声も出ている。
政府は米国との「価値観同盟」の観点から、IPEFやチップ4などに協力しているが、これら協議体が中国をサプライチェーンから排除させようとする米国の意図を下敷きとしており、中国依存度の高い韓国としては、慎重なスタンスをとるべきだという指摘だ。
特に、韓国は2017年に最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」を配備したことで中国から「限韓令」と呼ばれる「THAAD報復」に遭い、経済打撃を受けた経緯がある。
まだ米中間で綱渡りをしている状態だが、中国が自国の核心的利益を守るために韓国の脆弱な供給網にくさびを打ち込もうとすれば、第2のTHAAD報復、第2の尿素水事態を迎える可能性も排除できない。
(つづく)
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