フェイスブックやインスタに、私の身代わりが……
広告モデルやアナウンサー、銀行員、アイドル――。「人間固有の領域」と思われていた分野で、人工知能(AI)技術により誕生した仮想人間が縦横無尽に活動しています。「彼ら」が切り開こうとしている世界にどのような未来が広がっているのか考えてみます。(シリーズ3/計8回)
仮想人間が私たちの日常に入り込むようになると、従来とは異なる社会的・経済的な問題が生じると予測されている。雇用問題が代表的な例だ。広告モデルや気象キャスター、銀行員など既存の人材を仮想人間に代替することが可能になったからだ。専門家たちは、これ以外にも、過去に経験したことのないような、仮想と現実が混在した新たな現象が生み出されるとみている。
韓国の内外で最近、仮想人間が注目を集めた出来事がある。それは新型コロナウイルスの感染拡大で広まった、オンラインという「非対面の環境」。新型コロナの影響により、おのずとオンライン画面を通じた視覚的な要素に触れるようになったため、仮想人間が注目されるようになった、というわけだ。
韓国・中央大社会学科のイ・ビョンフン教授は新型コロナ禍での状況を次のように分析する。
「われわれは新型コロナによって、オンライン会議や公演など、社会的・経済的な活動の相当数が非対面方式に置き換わるという経験をした。この環境の中で、人々の好感を抱く要素を総合した最適のコンテンツが、仮想人間といえる。広告業界やメディア、サービス職種が真っ先に仮想人間を活用するようになったのも、こうした要因がよく適合していたためだ」
仮想人間は商業的に活用されるだけでなく、政治的発言や社会的な出来事に対しても影響力を発揮する。「コンテンツ未来融合フォーラム」のウィ・ジョンヒョン議長は「代表的な仮想人間であるリル・ミケーラは人権や人種差別、環境問題などについて社会的な発言をよくするが、驚くべきことに、そのメッセージが社会的に影響を与える構造が生まれている」と警告している。
(つづく)