2024 年 10月 5日 (土)
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[KWレポート] 中国の“赤い規制”…習近平主席の青写真は何か(1)

「共同富裕」の旗で経済・社会の大手術

中国の習近平国家主席©AFP

中国から規制のニュースが絶えず聞こえ、いずれも過激で、対象も多様です。しかし、よく見ると、方向はひとつのようです。14億人の中国はどんな青写真を描いているのでしょうか。(シリーズ1/計4回)

上海証券取引所は昨年11月3日夜、その2日後に予定されたアリババ集団傘下の金融会社、アント・グループの上場中止を発表した。この時、市場関係者はアリババ創業者の馬雲氏の“舌”が招いた「中国共産党の報復」程度と理解した。その前月24日、ある行事会場で馬氏が中国の金融制度を「古い政策」と批判した直後のことだったためだ。

それから1年を経て、いま中国で進められているあらゆる「反市場的措置」を、単に馬雲のせいだとみる人はいない。中国のメディアやゲーム産業を管轄する国家新聞出版署は最近、未成年者(18歳未満)による平日のオンラインゲームを制限し、「今後、金曜日、週末、休日に限り午後8~9時の1時間だけ可能とする」と発表した。官営メディアが「ゲームは精神的アヘン」と報道してから1カ月足らずで出た措置だ。

もはや大衆は、馬雲事件が習近平国家主席(中国共産党総書記)の全方位的改革のトリガー(引き金)にすぎないということを悟っている。今、中国の政治、経済、社会の全分野は、それ自体が巨大な変化の渦巻きだ。アリババのようなビックテックを手始めに、シェア自動車、私教育、ゲームなど、お金が集中するほとんどの分野が規制対象だ。

6月末に配車サービス大手「滴滴出行」が米ニューヨーク証券市場に上場すると、直ちにサイバーセキュリティー点検という理由で新規加入者の募集を禁止したことや、今年7月24日に営利目的の私教育を禁止した措置、最近では月~木曜日の未成年者のゲームを禁止する一方、小・中学生の試験回数制限など一連の規制が思い切って進められている。

散発的に見える規制中心には、習主席の政治スローガン「共同富裕」がある。「みんなで豊かに暮らそう」という叫びだ。単なる政治的レトリックではない。共同富裕実現のための段階別指針において確認できる。

(つづく)

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