2024 年 11月 28日 (木)
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[KWレポート] 世界を駆けるK-ゲーム (5)

「オイルマネー」も惚れたネクソン

ネクソン新作ゲーム「パイプライン」(同社ホームページより)©news1

韓国発ゲームが各国で注目を集め、ゲーム各社はグローバル市場の攻略に向けて試行錯誤を繰り返しています。その現場を取材しました。(最終回)

韓国ゲーム会社初の「年間売り上げ3兆ウォン」を突破したオンラインゲーム大手「ネクソン(NEXON)」は2021年に異常なほど静かだった。大記録を維持するために「全力」を尽くすと予想したが、新作発売には消極的だった。自然に売り上げも2兆ウォン台に下がった。

ところが、2022年2月8日に開かれたネクソンの業績発表で「沈黙」の理由が明らかになった。ネクソンが17もの新作ゲームを公開したのだ。はなはだしくは、このうち10は2022年中の発売を予告した。「息抜き」を終えたネクソンが、2022年は本格的な「総攻勢」に突入するのだ。

注目すべきは「コンソールゲーム」(ゲームをする際に機器を必要とするゲーム)だ。これまでパソコン・モバイルゲームにだけ集中していたネクソンだが、コンソール新作「4種」を発表した。コンソールゲームが人気の北米・欧州市場を攻略するという考えだ。それだけではない。米国で準備している切り札もあるといい、それは「映画」だ。世界市場に向けたネクソンの足取りが早くなっている。

◇「オイルマネー」はなぜネクソンに惚れたのか?

サウジアラビアの国富ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド」(PIF)が2022年2月4日、ネクソン株1兆ウォン分を購入したのに続き、同22日には2200億ウォン分を追加で買い付けた。これまでブリザード、EAなど日米の超大型ゲーム会社に投資してきたPIFが、韓国の「ネクソン」に注目しているのだ。

表面的な投資の背景には「ダンジョン&ファイターモバイル(アラド戦記モバイル)」がある。これはネクソンの代表ゲーム「ダンジョン&ファイター」のモバイルバージョンで、2022年3月24日に発売を控えている。「ダンジョン&ファイターモバイル」は、名実ともにネクソンの「ドル箱商品」だ。同ゲームが保有しているグローバル累積利用者は8億人を超える。累積売上は21兆ウォンに達する。

ネクソン関係者は「投資の背景については確認されていないが、会社のポートフォリオと、今後発売予定のパイプラインを見て投資したのではないかと思う」と述べた。

ゲーム業界は、発売から16周年を迎える「ダンジョン&ファイターモバイル」が、これまでもネクソンの売上の相当部分を占めていることを考慮し、モバイルバージョンも同様に、相当な成果を上げられると見込んでいる。

ネクソンのイ・ジョンホン代表(同社提供)©news1

◇「ダンジョン&ファイターモバイル」はスタートのみ

表面的な投資理由は「ダンジョン&ファイターモバイル」。だが、よく見れば理由がもっとある。

ネクソンは新作ラインナップにコンソールゲームを四つ(「カートライダー ドリフト(KartRider: Drift)」「アークレイダー(ARC Raiders)」「プロジェクトマグナム(PROJECT MAGNUM)」「DNF Duel」)含めた。ネクソンは売上の72%をパソコンで、28%をモバイルで創出するパソコン・モバイルゲーム会社だ。だが、これまでコンソールゲームはなかった。

ネクソンがコンソールの新作4種を発売したのは、韓国や中国を超え、北米や欧州市場を積極的に攻略するという意志を表明したためだ。ネクソンにとって北米・欧州市場は、選択ではなく必須だ。

ネクソンが発表した2021年の年間報告書によると、ネクソンは売上の56%を韓国で、44%を海外で稼いでいる。決して少なくない海外売上だが、問題は「中国」が海外売上の半分以上を占めているという点だ。

中国のブラックボックスのようなゲーム政策の特性上、ゲーム会社は安定的な事業を営むことができない。ネクソンの「ダンジョン&ファイターモバイル」も2016年に「版号」を取得して2020年に発売が予定されていたが、発売を翌日に控えてパブリッシャーのインターネット大手「騰訊控股(テンセント)」が突然日程を延期した後、現在まで消息がない。

ネクソンがコンソールゲームを武器に北米・欧州の売上を高められれば、業界が指摘する「チャイナリスク」の負担を軽減できる。真の「グローバルゲーム社」という顔を備えることになるのだ。昨年のネクソンの売上の割合は、韓国(56%)、中国(27%)、北米・欧州(7%)、日本(4%)――の順だった。

◇「アジアのディズニー」は現実化するか

よく知られていないネクソンのグローバル攻略兵器「映画」もある。

ネクソンは2022年1月、米国の映画・ドラマ制作会社「AGBO」に6000億ウォンを投資した。AGBOは2017年に世界的な映画監督ルッソ兄弟が設立した映像制作会社で、代表作に「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」などの「マーベル」(Marvel)映画がある。ネクソンが「マーベルDNA」を輸血したのだ。

実際、ネクソンは昨年、米ロサンゼルスに「ネクソン・フィルム&テレビ」を別途新設し、コンテンツ事業拡大の意志を示した。この組織はネクソンが迎え入れたディズニー出身のエンターテイメント業界専門家、ニック・ヴァン・ダイク最高戦略責任者(CSO)が率いている。

ネクソン創業者、故キム・ジョンジュ氏の長年の夢だった「アジアのディズニー」が現実のものとなっているのだ。キム氏はネクソンの創業プロセスを扱った本「プレイ」で「ディズニーの100分の1でもついて行きたい」と述べ、「総合エンターテインメント社」への跳躍の夢をほのめかしたことがある。

実際、最近の世界的な人気ゲーム「League of Legends(LoL)」がベースになったアニメ「アーケイン」が米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)でグローバル1位を占めるなど、「ゲーム映画」の成績が良い。大衆的な成功を収めることができなくても、ゲームIP(知的財産)ベースの映画が、ゲームそのものの寿命を延ばす効果もある。

ネクソン関係者はこう明らかにする。

「どんなゲームIPを映像化するかについて議論していると聞いている。ゲームと映画、TV、ストリーミングなど多様な経路でグローバルユーザーがネクソンのIPを共有できる機会を提供する」

(おわり)

「世界を駆けるK-ゲーム」はnews1のキム・グノク記者が取材しました。

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