2024 年 5月 20日 (月)
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[KWレポート] 世界を駆けるK-ゲーム (4)

14億の「インド神話」

「バトルグラウンド」(クラフトン提供)©news1

韓国発ゲームが各国で注目を集め、ゲーム各社はグローバル市場の攻略に向けて試行錯誤を繰り返しています。その現場を取材しました。(シリーズ4/5)

韓国のビデオゲーム開発「クラフトン(KRAFTON)」のインド投資額は1000億ウォンを超えた。クラフトンのインド市場攻略が、ゲーム業界に与える意味は相当なものだ。

韓国は世界シェア「4位」に輝くゲーム強国だが、構造的限界がある。「2021大韓民国ゲーム白書」によると、韓国の主要ゲーム輸出国・地域は中国(35%)、台湾(12%)、日本(4%)で、3カ国・地域だけで50%を超える。輸出国がアジア地域に限定的だということだ。

インドはどの韓国IT・ゲーム会社も挑戦しなかった「未知の国」だ。インドは中国に続き世界で2番目に人口が多く、最近はスマートフォンの普及率が40%にまで上昇した。韓国のゲーム会社が先を争って「先取」しなければならない新興輸出相手国だ。

◇クラフトン、インド「ゲーム開発会社」対象に初投資

クラフトンは今年2月3日、インドのスポーツゲーム専門開発会社ノーチラスモバイルに65億ウォンを投資した。ノーチラスモバイルはインドの国民的スポーツ「クリケット」を利用したゲーム「リアルクリケット」(Real Cricket)をサービスしているゲーム会社だ。

クラフトンのインド市場への投資は着実に続いてきたが、ゲーム開発会社を対象に投資したのは初めてだ。2020年にインド現地法人を設立したクラフトンは▽インドのeスポーツ企業「NOWDIN Gaming」▽ゲームストリーミングプラットフォーム「Loco」▽ウェブ小説プラットフォーム「Pratilipi」▽インドVC「3one4」▽ソーシャルプラットフォーム「Friend」――に次々と投資した。

昨年、クラプトンがインドのIT企業に投資した金額は949億ウォン。今回の投資で全体投資額は1014億ウォンになった。クラフトンのインド攻略はまだ「始まり」の段階だ。

クラフトン関係者は「インドeスポーツ専門開発会社『Nautilus Mobile』に投資したのと同じように、インドのゲーム市場を対象にした直接投資を本格的に拡大していく予定だ」と明らかにした。

クラフトンのキム・チャンハン代表©news1

◇人口14億から出る「インドパワー」

クラフトンのインド市場攻略をめぐっては、疑問を抱く人も少なくない。スマートフォンでゲームを楽しむほど経済水準が発展していないという認識のためだ。

ただしITの生態系で「インドパワー」を見ると、話は変わる。

Googleが昨年発表した「2021年グローバル検索語ランキング」によると、全体の1位は「オーストラリアVSインド」、2位は「インドVS英国」、3位は「インドプレミアリーグ」が占めた。7位も「インドVSニュージーランド」だった。全人口14億人に達するインドの強大な威力がGoogleの検索語の順位を掌握したのだ。

それだけではない。昨年7月にクラフトンがインド市場で発売した「Battlegrounds」は、発売から44日間でダウンロード累積5000万回を突破した。韓国の全体人口に匹敵する数値だ。

インド・スマートフォン市場の発展の可能性は計り知れない。市場調査会社「ストラテジー・アナリティクス(SA)」によると、2021年にインドのスマートフォン普及率は41%水準だった。世界平均の67%まで上がれば、インドがモバイル生態系に及ぼす影響は想像以上になるかもしれない。

◇新市場攻略で中国依存度を下げる

韓国のゲーム業界は中国への輸出依存度を下げ、新たな新興市場を発掘するためにインド市場に注目する雰囲気だ。2017年以降、中国政府から「版号」(サービスの許可番号)の発給を受けたゲームは3種類にすぎない。

版号発給の基準と発給日程もブラックボックスであり、当てもなく待つこともできない。韓国ゲーム各社のインド攻略は、避けられない選択というわけだ。

クラフトンのチャン・ビョンギュ議長は「誰も歩まなかった道を行くのがクラフトンの特色だ」と述べ、グローバルゲーム会社に生まれ変わるという野望を明らかにしている。

チャン議長は2021年に開催された記者懇談会でこう指摘していた。

「インドという市場に直接足を運ぶと、街もきれいではなく、衛生面の心配もしなければならない。最近では新型コロナウイルス感染のため健康も心配しなければならない厳しい国だ」

その一方で、こんな話もしていた。

「サムスン電子が韓国だけで活動していたら、あれほどの時価総額と規模にはなれなかった。グローバルに挑戦するのがわれわれのカラーだ」

クラプトンのキム・チャンハン代表はインド市場を「橋頭堡」とし、北アフリカ市場まで進出する抱負を明らかにした。

「クラプトンはすでに、インドと中東で『国民のゲーム』として位置づけられ、マーケットリーダーとなった。インド市場に直接、ゲームサービスをしてみたところ、インドを経てアフリカ地域までゲームが続く現象を経験した。インドをスタートに、北アフリカまでつながる新しい市場に進出していく」

(つづく)

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