韓国が知らない、その底力
韓国発ゲームが各国で注目を集め、ゲーム各社はグローバル市場の攻略に向けて試行錯誤を繰り返しています。その現場を取材しました。(シリーズ1/5)
米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)のドラマ「イカゲーム」が世界中を席巻していた時、ブームに隠れて注目されなかった「本物のゲーム」があった。それが韓国発の「K-ゲーム」だ。
2021年、韓国のゲームはグローバル市場で目覚しい成果を上げた。代表的な例がMMORPGの「MIR4」(ミル4)グローバルと「クッキーラン:キングダム」だ。
「ウィメイド(WeMade)」が世界170カ国で発売している「MIR4」は、2カ月で同時接続者数130万人を達成した。グローバルゲームプラットフォーム「スチーム(Steam)」で1位を記録した「カウンターストライク」に匹敵する世界記録だ。
ゲーム会社「デヴシスターズ(Devsisters)」が発売した「クッキーラン:キングダム」は2021年9月、日本の二大アプリマーケットゲームで人気1位となり、10月には米アップルのアプリストアゲームで売上3位になった。日本、米国でトップの座についたのだ。
◇「輸出に貢献」K-ゲーム、世界4位に浮上
世界で認められているK-ゲームの底力は、具体的な数値でも確認できる。
韓国コンテンツ振興院が発表した「2021韓国ゲーム白書」によると、韓国のゲーム輸出額は2020年に9兆6688億ウォンだった。輸出額が売上高全体の半分(51%)を超えた。
グローバルゲーム市場におけるシェアの順位もワンランク上昇した。ゲーム産業の国別シェアは▽米国21.9%▽中国18.1%▽日本11.5%▽韓国6.9%▽英国6.1%――の順だった。
つまり、韓国はゲームの売り上げの半分を海外で稼ぎ、米国、中国、日本に次いで世界シェア4位の「ゲーム強国」であるわけだ。
◇誰がゲームに「非主流」と声を上げたのか
皮肉なのは、世界で認められている韓国ゲームの底力を韓国が最も知らないということだ。まだゲームは「非主流」コンテンツだと認識している人が多いからだ。
代表的なのが「シャットダウン制」だった。青少年は午前0~6時まで、パソコンオンラインゲームにアクセスできないようにした制度だ。問題は映画、ドラマ、ウェブトゥーン、放送など他のいかなるコンテンツ産業もこうした規制を受けないということだ。
幸い2021年にゲームに対する社会的圧力と否定的な視線を代表する「シャットダウン制」が廃止された。これは、ゲームが社会全般の普遍的文化の一つに位置づけられたことを象徴する事例だ。
ゲーム業界は、2022年に▽K-ゲーム産業のグローバル投資誘致に青信号がともる▽「教育手段」として新たなゲーム市場が開かれる▽ゲームが「メタバース」時代の新たな主人公になる――と見込んでいる。
◇「韓国は狭い」…K-ゲームのグローバル進出
代表的な「オイルマネー」であるサウジアラビアの国富ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド」(PIF)が2月4日、韓国のゲーム会社「ネクソン(NEXON)」の株式1兆ウォン分を購入した。中東のオイルマネーが韓国のゲーム会社に大金を投資するのは異例のことだ。
同9日にはPIFが韓国ゲーム会社「NCソフト(NCSOFT)」の株式8000億ウォン分を購入した。K-ゲームの競争力を確認できる事例だ。
さらに同16日には、韓国のゲーム会社「スマイルゲート(Smilegate)」が発売した「ロストアーク」が、世界的なゲーム流通プラットフォーム「スチーム」で、リアルタイム同時接続者数が132万人という大記録を打ち立てた。
スチームの歴代最高同時接続者数は325万人で、これはビデオゲーム開発「クラフトン(KRAFTON)」の「バトルグラウンド」によるものだ。韓国ゲームが世界的なゲームプラットフォームの同時接続者数の記録で1、2位を占めたことになる。
韓国コンテンツ振興院は、韓国のゲーム産業が持続的に成長し、2022年のゲーム市場規模は前年比8.9%増の21兆8275億ウォン、2023年には前年比7.5%増の23兆4611億ウォンを記録すると見込んでいる。
(つづく)