地球5926周を走った!
ソウル市民が、変わりゆくソウルの風景を選ぶとしたら? おそらくソウル市のシェアサイクル「タルンイ」を挙げる人が多いでしょう。大都市のソウルで通勤や日中の移動でもタクシーの代わりにタルンイに乗る人が増えています。ソウルにお目見えして6年。今も身近な交通手段として進化しているタルンイについてみてみよう。(シリーズ1/3)
◇「富川市民も乗りたいです」
「タルンイを富川(プチョン)、高陽(コヤン)、光明(クァンミョン)などソウルの衛星都市にまで拡大してください」
2021年10月12日にソウル市のホームページ「民主主義ソウル」に掲載された書き込みだ。ソウル市のシェアサイクル「タルンイ」の人気ぶりを実感できる。ソウルの街を動き回るタルンイの姿は、日常になった。白い自転車に緑色の車輪の「タルンイ」が、ソウルの風景を変えたという評価もある。
ソウル中心部・光化門(クァンファムン)にある会社に勤めるチェ・ソンフンさん(45、男)は「歩くには少し遠く、車に乗るには微妙な距離を行き来するときはタルンイによく乗る。アクセスしやすく身体的負担が少なく、運動効果が高いので本当に便利だ」と話した。
◇ソウル市民の3人に1人は会員
ソウル市とソウル施設公団によれば、「タルンイ」は正式運用から2021年10月30日で6年を迎えた。これまで、タルンイの利用のために加入した累積会員数は、2021年9月末現在で325万4334人。ソウル市民973万人の33.4%に達し、3人に1人がタルンイの会員という計算だ。タルンイ累積会員は、運営初年度の2015年、約3万4000人からスタートし、2018年9月は100万人を超えた。その後、2020年5月に200万人を、また1年後の2021年5月には300万人を突破した。
タルンイの累積利用件数は、8380万7669件にのぼる。ソウル市民1人がタルンイを11回ぐらい利用したということになる。総走行距離も2億キロを超え、2021年9月末までに2億3702万347キロとなった。地球1周が約4万キロだから地球5926周に当たる。
このような「タルンイ」の成功は、導入当初は予想できなかった。2010年、前身ともいえるソウルのレンタル公共自転車が導入され、440台が運行されたが、市民らからそっぽを向かれた。しかし、公共交通機関などと併せて利用できるように地下鉄駅やバス停を中心にスタンドを作り、初めての人も簡単に利用できるようにするなど、利用方法を改善し続けた。
ユーザーの利便性も良くなった。自転車の大きさと重さを減らした「ニューフェイス・タルンイ」を導入し、利用年齢も15歳から13歳に下げ、年齢や体格によって選択できるようにした。IoT(モノのインターネット技術)を取り入れ、自転車の後輪にあるQRコードをスキャンすれば、簡単に貸出・返却できる端末機も導入した。ソウル施設公団のチョ・ソンイル理事長は「より多くの市民がタルンイを便利で安全に利用できるよう努力している」と強調した。
(つづく)