梧倉のような動きは各地域で起きるだろう。
二次電池バリューチェーンに属した企業の場合、原料輸入や製品輸出に容易なインフラが敷かれており、広い工場敷地を確保できる非首都圏地域を好む。首都圏では、バッテリー関連生産ラインを作る用地も不十分で、物流費も高い。
実際、最近二次電池特化団地に指定された清州、セマングム、浦項、蔚山のいずれも、こうした条件を満たしている。民間投資誘致のための許認可の簡素化、各種規制緩和、予算支援などを通じて、この4地域を二次電池ハブに育てる――これが韓国政府の計画だ。
これら自治体が期待する雇用効果は計50万人水準に迫る。特化団地には属していないが、瑞山(SKオン)、光陽(ポスコ・フューチャーM)なども二次電池拠点と呼ぶのに十分だ。
◇二次電池バリューチェーン
二次電池バリューチェーンは、量的、質的な拡大を後押しする。
浦項や光陽のような都市は、既存の製鉄分野から「バッテリー1番地」に転換し、ポスコ・フューチャーM(浦項・光陽)、エコプロ(浦項)などを中心に、陽極材生産ラインを構築している。
浦項の場合は、都市レベルで陽極材100万トンの生産や売り上げ70兆ウォン(約7兆7000億円)を達成することを目標にした。
自動車と重工業の都市で知られる蔚山も変貌を遂げている。
サムスンSDIの中大型バッテリー生産施設がある蔚州郡(ウルチュグン)を中心に素材・設備関連企業誘致に乗り出している。
LG化学やロッテケミカル、HD現代オイルバンク、ハンファトタルなど、主要な精油・石油化学施設が密集する瑞山も、SKオンを中心にバッテリーバリューチェーン都市への転換しつつある。
◇「都市間競争力」を高める
LGエネルギーソリューション、サムスンSDI、SKオンのバッテリー3社が最近、米国や欧州への投資を拡大していることも、雇用面でプラスに働きそうだ。
バッテリー3社の生産ラインに入る設備の約90%が「メイド・イン・コリア」だからだ。
国産装備業者に輸出のチャンスが広がることが予想され、PNTやCIS、SFA、コーウィンテック、エヌシスなどの装備業者は、非首都圏に事業拠点を設け、地域経済にも寄与するとみられる。
バッテリーのバリューチェーンに属する事業は「新規」といえ、新たな働き口の創出効果が大きい。
韓国バッテリー産業協会のパク・テソン常勤副会長は、次のような見解を示している。
「鉄鋼・造船など人件費負担が高い産業の場合、人口減で人手不足がはっきりし、外国人勤労者の導入に積極的だ。石油・化学は、高付加価値産業という認識が強いものの、雇用創出効果は弱かった。高齢化・人口流出などで苦しんでいた主要地方自治体が、バッテリー業界での雇用によって都市間競争力を高めている」
(つづく)
(c)MONEYTODAY