稼ぐ行為はゲームでなく「労働」
「お金を使うゲーム」から「お金を稼ぐゲーム」へ――ゲーム産業の状況が変化しています。韓国のゲーム各社がNFTゲームを新成長エンジンと掲げる一方で、政府はギャンブル性を懸念して躊躇しています。韓国の実情を取材しました。(シリーズ3/4回)
◇慎重論
NFTゲームブームについては、ゲーム会社には慎重論もある。NFTゲームが主流ではあるが、ゲーム知的財産権(IP)の競争力が保障されなければ、NFTも価値を持てないという認識があるためだ。
情報技術(IT)業界によると、「ネットマーブル」「ウィメイド」「NCソフト」など、韓国の主要ゲーム会社が最近、NFTに熱を上げているのは、ユーザーにアイテムとキャラクターの所有権を渡すことで、これまでの確率型アイテム中心のビジネスモデルに取って代わるのではないかという期待からだ。
ゲーム会社はNFTゲームで発生するIn-App決済、アイテム交換などで手数料を請求しながら売上を確保すると同時に、利用者のNFTアイテム取引を支援するため、独自コインを発行して副収入を上げることができる。
だが、ゲーム業界の内外ではNFTに基づく「カネ儲けゲーム」(P2E=Play to Earn)に、過度に巻き込まれては困るという警戒心も根強い。NFTは、ユーザー主権を強化する中で生まれる「付随的な収益」にすぎず、本質はゲームそのものだということだ。
韓国コンテンツ振興院によると、国内オンラインゲームの寿命は37.6カ月、モバイルゲームは6カ月にすぎない。IP競争力の弱体化によってゲームが寿命をまっとうすれば、NFTも意味がなくなるという論理だ。
◇「楽しさの拡張」
最近、ウィメイドのチャン・ヒョングク代表が強調している「PaE」(Play and Earn=ゲームして稼ぐ)は、こうした文脈から出てきたものだ。ウィメイド関係者はこう強調する。
「面白くないのにお金を稼げるとすれば、それはゲームではなく労働だ。完成度の高いゲームを楽しみ、そこに一定の収入をもたらす一石二鳥のモデルを目指す」
他のゲーム会社の認識も似ている。ゲーム開発「KRAFTON」は自社ゲームのNFT化に慎重な立場だ。「KRAFTON」CFOのペ・ドングン氏はこう強調した。
「まずは、ゲームの利用者が維持できなければ。今もわれわれのゲームにNFT技術を組み合わせることはできるが、これによってゲームの楽しさを拡張できると判断するのが先決」
実際、国内初のサービスとなったP2Eゲーム「無限突破三国志リバース」と、ベトナム、フィリピンで人気を呼ぶ「アクシーインフィニティ(Axie Infinity)」をめぐり、業界ではゲーム性が高くないという声が出ている。ある業界関係者は「(2つのゲームが)面白いという評価はほとんどなく、『いくらか稼げる』が主流だ。そうした状況になるような事態はできるだけ控えている」と話した。
中央(チュンアン)大のウィ・ジョンヒョン教授(韓国ゲーム学会長)は「お金を稼ぐゲームだと口にした瞬間、ゲーム自体が崩壊する。IPの力がない状態でNFTをいくら入れても、それはゲーム性自体が成立しない」と指摘している。
(つづく)