無理のない脚本と繊細な演出
韓国のドラマ・娯楽チャンネル「ENA」で6月29日に始まった全16話の「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」が視聴率を次々に更新しています。天才的な頭脳と自閉症スペクトラム障害を併せ持つ弁護士の物語が、なぜここまで韓国の視聴者をひきつけるのか、その背景を考えてみました。(シリーズ2/3)
◇熱演と、完成度の高い演出
「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」は、深みのある話に加え、ウ・ヨンウ役のパク・ウンビン▽カン・テオ(ウ・ヨンウに好意を寄せる法律事務所スタッフのイ・ジュノ役)▽カン・ギヨン(ウ・ヨンウの上司でシニア弁護士チョン・ミョンソク役)――ら俳優の熱演、そして高い完成度を誇る演出により、序盤から視聴者の関心を集めている。
韓国のテレビ番組話題性分析「グッドデータ」が発表した7月1週目の話題性順位で、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」は2週間連続で1位となった。話題性指標に反映されるニュース、ブログ、動画SNSなど全部門で1位を占めた。
このドラマが記録した話題性点数11万5316点は、放送初週に比べて3倍以上も上昇した。
出演者部門では主人公のパク・ウンビンが2週連続1位となった。カン・テオも2位に、チュ・ヒョニョン(ウ・ヨンウの親友役)は4位を記録した。
グッドデータは次のように分析している。
「口コミを通じて関心を持った人が視聴している。同時に、通信事業者などに頼らず、インターネットを介して視聴者に直接提供されるOTTを通じて視聴者が急増する『ツートラック(two track)効果』(ある物事を手掛ける際、一つではなく二つの接近方法を取ること)が話題性に反映されている」
◇視聴者「コンテンツの質をいっそう重視」
ENAは4月のブランド戦略見直しからわずか3カ月で「Never give up」と「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の2作品で認知度を大幅に上げた。
「ウ・ヨンウ」の成功が示していること――今の視聴者が、チャンネルの認知度や接近性より、コンテンツの質をよりいっそう重視している、という傾向だ。
ENA広告チームのパク・スンファン課長は次のように手ごたえを語る。
「視聴者数は劣勢であるにもかかわらず、視聴者の反応をみれば、ブランドそのものを新鮮に受け入れてもらっているようだ。実際、広告主の関心が高まったように感じる」
「ウ・ヨンウ」が公開されている米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)でも、放送2回でコンテンツ順位1位を記録している。
また、ネットフリックスが利用者の視聴時間を集計して発表する「全世界トップ10プログラム(ショー)」週間チャートで「ウ・ヨンウ」は7月4~10日に2395万時間の視聴時間となり、非英語圏の作品1位に躍り出ている。
「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」は、世代を問わず、国境も越える。海外からリメイクの提案もあったという。これが実現すれば、K-コンテンツのブームが再び拡大する――こんな期待感が高まっている。
◇俳優が物語溶け込み
「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のシンドローム級の人気を支えるのは、自閉症スペクトラム障害に関する知識に基づく、作家ムン・ジウォンが著した無理のない脚本と、ユ・インシク監督の繊細な演出だ。
これに俳優の迫真の演技が重なる。
主人公のパク・ウンビン、カン・テオ、カン・ギヨン、チョン・ベス(ウ・ヨンウの父親役)、ペク・ジウォン(ハンバダの代表)、チン・ギョン(ライバル事務所テサンのパートナー弁護士)、チュ・ヒョニョン(ウ・ヨンウの親友)、ハ・ユンギョン(ロースクール同期でウ・ヨンウの面倒を見る同僚弁護士)、チュ・ジョンヒョク(同僚弁護士でウ・ヨンウをライバル視)……。
こうした俳優は、それぞれのキャラクターを完璧にこなし、ドラマに活力を吹き込んでいる。各エピソードの特別出演者も、物語溶け込み、作品の完成度を高めている。
(つづく)
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