二重構造問題
韓国の各分野で働き手が見つからないという問題が起きています。一方、20代の若者をみれば、仕事を見つけられずに苦しんでいます。この雇用の「ミスマッチ」、なぜ起きるのでしょうか。(シリーズ2/5)
◇画期的なパラダイム転換が必要
求人する企業側と求職する学生側のニーズにギャップが生じる「ミスマッチ」が若者の就職難の主な原因だ。
造船業や飲食業、農業、タクシーなど特定業種、中小企業などは働き手を見つけられず「困難」を訴える。政府によると、今年6月現在、空席となった働き口の数は23万4000だが、このうちの96%である22万4000が「社員300人未満の事業体」で発生した。半面、若者が望む働き口は大企業、公共機関など、待遇が良い所に限定されている。
韓国労働研究院のキム・ユビン動向分析室長は「多少、就職に時間がかかっても良い職場に入るのが長期的に見れば効率的だと判断し、就職自体を遅らせる現象があるようだ。最初に条件の悪い職場に行くことになれば、より良い働き口に転職することが難しくなるためだ」と話した。
専門家は、労働市場が賃金や安定性など勤労条件により、事実上2つの世界に分断されている二重構造を「ミスマッチ」の核心的な原因だと指摘した。
ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が今年8月、夏休みに先立ち「元請けと下請けとの間の賃金二重構造は、私たちの社会が必ず解決しなければならない問題で、改善策を作れ」と指示したのも、そういう認識からだ。
イ・ジョンシク雇用労働相が「二重構造問題を解消するためには勤労者中心の、既存の枠組みから抜け出した労働法制全般の画期的なパラダイム転換が必要だ。働き方、雇用形態の多角化に合わせ、労働法体系を多層化することも一つの代案になりうる」と明らかにした経緯がある。
◇どれほど効率的に予算を投入できるか
韓国労働研究院のキム・ユビン室長は次のような見解を示す。
「政府が、大企業と中小企業間の賃金格差問題に焦点を合わせるならば、支払余力が不足している中小企業を間接的に補助する方法もあるだろう。一例として、一定期間在職すると、政府から支援金をもらって資産形成する『青年明日補填控除』が、このような形態の政策だ」
そのうえで「政府レベルでさまざまなアイデアがあるだろう。どれほど効率的に予算を投入できるかが重要だろう」と指摘する。
韓国開発研究院(KDI)のハン・ヨセフ研究委員の意見はこうだ。
「労働市場がうまく機能するなら、人材難の業種の賃金が上昇し、若者が流入するようにならなければいけない。だが、そのようにならない場合が多い。例えば、人材難に陥っている造船業の場合、受注は多くても直ちに利益が出るわけではなく、賃金を上げにくいという問題などがある。政府があまり前面に出てはならないが、例えば基金をつくって賃金を支援した後、後で返してもらうなどの方法で調整に乗り出す必要はあるだろう」
(つづく)
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