
韓国では過去30年間に、約34万人の国民が自殺した。毎年約1万1000人のペースだ。2024年は36分に1人が自ら命を絶った計算となる。韓国は2003年以降、自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)が20人を下回ったことのない唯一の経済協力開発機構(OECD)加盟国だ。「OECD自殺率1位」という不名誉なタイトルを20年間維持し続けている。
8月17日に統計庁が発表した「年度別自殺率の推移」によると、自殺率は1995年に10人、2003年に20人、2009年には30人を突破した。30年間、一貫して高い水準が続き、2011年には31.7人でピークを記録した。保健福祉省が発表した2024年の暫定自殺率は28.3人で、2013年(28.5人)以来11年ぶりに28人を超えた。
1994年からの30年間で、自殺者は33万9035人に達する。この人数は、人口減少地域に指定されている地方自治体のうち、上位5カ所(仁川・江華郡、江原・洪川郡、江原・三陟市、全南・高興郡、忠南・扶余郡)の7月末時点の人口合計(31万5702人)より2万3333人も多い。2024年の自殺者は1万4439人で、1日平均40人、36分に1人が自殺した計算になる。
◇「国家的危機→無規範状態→心理的・現実的な苦しみ」
自殺率は経済危機や社会的災害の直後に急上昇する傾向を示してきた。1997年の国際通貨基金(IMF)危機、2002年のクレジットカード危機、2008年の世界金融危機の直後、1~2年の間に自殺率が大きく上昇した。
2023年と2024年の自殺率上昇についても、2020~2022年の新型コロナウイルス・パンデミックの余波と分析されている。韓国政府は2023年に発表した「第5次自殺予防基本計画」で、コロナ以後の社会経済的変化が自殺率と直接・間接的に結びつく可能性があるとして、自殺率の急増に備えた政策の見直しと社会的セーフティネットの強化が必要だと診断している。
他国と比較すると、韓国の自殺問題の深刻さがはっきりと浮かび上がる。OECDの自殺率統計によると、韓国は1997年にOECD平均(16.2人)を上回り、2003年には初めてハンガリーを抜いて自殺率1位を記録した。その後20年以上にわたり、自殺率1位の座から下りられずにいる。
ソウル大学人類学科のパク・ハンソン教授は次のように指摘する。
「国家的な危機が訪れると、社会の秩序や慣行が崩れ、無規範状態が現れる。人々は心理的・現実的な苦しみから逃れようとし、その過程で一部の人は自殺に至ってしまう。特に精神疾患を抱えていた人々は、国家的な危機の中で必要な支援を受けられず、自殺のリスクが一層高まる」
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