日本で、中国でターゲットを探す
「『井の中の蛙』では成長に限界」。これが韓国スタートアップの共通認識です。国内で成果を収めてもビッグにはなれない。それよりも「無限の可能性」にかけ、グローバル市場に打って出る――。世界に目を向ける「K-スタートアップ」の試行錯誤の現状を取材しました。(最終回)
◇オフライン業務まで一度に
クリエイターたちの中国進出を支援する「アドバ(adoba)」。中国の8大動画プラットフォーム市場に参入した。昨年、アドバを通じて進出したクリエーター314人のうち▽購読者10万人以上のチャンネルが29▽5万人以上が48▽1万人以上が135――だった。登録者数の総数1000万人、コンテンツ累積照会数9億件を突破した。
中国のプラットホームは海外に開かれた市場ではない。このため開設には困難がつきまとった。
「韓国人が『外国人』として経験するチャンネルの開設・運営の問題、精算の仕組みなどを一つ一つ協議して解決した。20年以上にわたり中国で培ってきたビジネス経験が役立った」
「韓国人が『外国人』として経験するチャンネルの開設・運営の問題、精算の仕組みなどを一つ一つ協議して解決した。20年以上にわたり中国で培ってきたビジネス経験が役立った」
整形アプリ「カンナムオンニ」(江南姉さん)は2019年12月、日本での誘致を開始してから3カ月で、日本人ユーザーの相談申請が毎月150%増えた。だが、日本法人設立に向けた準備の途中、新型コロナウイルス感染が大幅に拡大し、海外事業戦略の転換は避けられなかった。
「カンナムオンニ」は海外でのローカル事業に注目した。日本の同種のサービス「ルクモ(Lucmo)」を買収した後、2020年12月、日本版「カンナムオンニ」サービスを始めた。外国人誘致サービスが定着した後に推進しようとしていた事業だが、戦略を見直し、サービス開始から8カ月で日本1位のプラットフォームとなった。
ホテル産業デジタル転換スタートアップ「H2Oホスピタリティ」も日本で成果を出している。2017年1月に清掃サービスを提供する日本のスタートアップ「ハウスケア」を買収し、同年11月にオンライン宿泊管理「ホスポ」の株式を買収してオン・オフライン宿泊管理システムを構築した。
この戦略が日本市場に受け入れられた。
当時、民宿業者の管理ソフトウェア企業は多かったが、掃除などオフライン業務まで一度に引き受けることができるところはH2Oホスピタリティが代表的だった。現在、H2Oホスピタリティが管理する日本国内の民宿など宿舎は約7300カ所にのぼる。
◇海外に出て、活路を模索
モンゴルや中東地域で活躍するスタートアップ企業もある。
外国人患者誘致プラットフォームを運営する「ハイメディ(Himedi)」は、新型コロナで入国が難しくなった外国人患者のために昨年2月、「非対面診療サービス」を発売した。
これは単純な診療に止まらず、外国人患者が韓国に入国して治療を受けられるように支援する。ハイメディ関係者はこう分析する。
「まだ現代化していないモンゴル患者の疾患統計を分析し、オーダーメード型のプロモーションと広告で患者に効果的にアプローチしていった」
認証・セキュリティ技術企業「センストーン(Ssenstone)」は2018年に英国法人「スイッチ」(swIDch)を設立し、現地で技術力を認められている。欧州最大のテックスタートアップ大会「ユーロパス2020」でサイバーテック分野1位、「サイバーテック100」に2年連続に輝いた。
昨年は国際セキュリティ授賞式の一つである「サイバーセキュリティブレークスルーアワード(Cyber Security Breakthrough Award)」で2年連続核心部門受賞企業に選ばれた。最近では英国政府が支援する「スマートグラント」プログラムに選定され、高齢者の指紋認識決済カードプロジェクトを進行中だ。
センストーンのユ・チャンフン代表はこう解説する。
「国内のセキュリティ・認証市場は飽和状態で血の出る競争が続いていた。英国は需要面や投資、ビジネスチャンスなどでフィンテック産業が成長するのに良い環境を備えており、ここをグローバル事業の拠点に決めた」
韓国のスタートアップは今後、どんな方向に進むのだろうか……。韓国市場が小さく、規制が厳しい。だからスタートアップの多くは海外に出て、活路を模索した。韓国政府はさまざまなグローバル進出のプログラムを打ち出している。「これにともなって、さらなるスタートアップが海外で頭角を現すだろう」。業界の関係者はこんな見通しを語った。
©MONEY TODAY
「『海外でブレイクしたい!』Kスタートアップの試行錯誤」はコ・ソギョン、チェ・テボムの両記者が取材しました。