回り回って結局、カカオ
10月15日、韓国京畿道(キョンギド)城南(ソンナム)市の板橋(パンギョ)SKC&Cデータセンターで発生した火災で、カカオトークをはじめとするカカオの中心的なサービスが「不通」となった事故が発生した。以後、利用者を中心にカカオトークからの離脱を試みる動きがあった。だが、これは一時的な現象に終わった。
カカオは通信障害事故発生以来、トップ交替、非常対策委員会設置など事態収拾に集中してきた。カカオT、カカオウェブトゥーン、メロン(MELON)など主要サービスの有料ユーザーにも補償方針を発表した。また、通信障害による被害事例を受け付け、補償案をまとめるための検討に乗り出した。ただし、補償規定や先例がなく、実際の支払いまでは難航するものとみられる。
◇「脱カカオトーク」は一時的
アプリ分析サービス「ワイズアプリ(Wise App)」によると、11月6日現在のカカオトークユーザー数は3963万7502人。カカオの通信障害事故発生翌日の先月16日のユーザー数である3904万9607万人より多い。これは韓国人の満10歳以上のアンドロイドとアップルiOSユーザー数を推定した数値だ。
週末に比べて利用者数が多い平日も、やはり通信障害以前の水準を回復した。データセンターの火災が発生する前の10月14日のユーザー数は4111万7444人だったが、今月4日のユーザー数も4100万人に回復したことが分かった。
一方、事故の影響で一時的に利益を得ていたネイバーLINEはユーザー数が急減した。ネイバーラインのユーザー数は10月14日は42万7952人。通信障害事故当日には93万6222人に増え、16日には127万人にまで増え、 17日には115万人となった。しかし、このユーザー数は徐々に減少し、11月6日には49万人レベルに戻った。
ソウル科学技術大のイ・グァンソク教授は、最近出した著書「デジタル暴食社会」で「カカオの通信障害事故はスマートフォン利用者がそれと互換可能な類似するライバル社のアプリに移行する契機にもなった。だがインターネットの歴史から見れば、類似のアプリサービスへの移動は単に一時的な現象に終わっている」と診断した。
そのうえで「こうした脈絡から見れば、『脱カカオ』増加傾向は一時な移動現象とみなすべきだ。一つのプラットフォームによる独占を無力化するという利用者の抵抗と解釈するのは難しい」と話した。
◇再発防止の約束「重い責任」
カカオは今回の事故を契機に、社会的責任の強化を約束した。
ホン・ウンテク(洪銀沢)代表は最近、実績発表コンファレンスコールで「今回の通信障害でカカオの社会的責任とファンダメンタルに対して深く苦悶し、サービスユーザーが国民そのものである時、負うべき重い責任を改めて感じた。電話や携帯メールのような代替できるツールがあるため通信が途絶えたわけではなかったが、カカオトークが止まった時、国民は日常生活が止まったと感じる理由が何かを省察した」と語った。
こうしたなか、今年1月に「救援投手」として代表に選任されたナムグン・フン(南宮燻)氏は「刷新と変化に対する意志」を明らかにするため、代表の辞任を発表した。
ホン・ウンテク氏の単独代表体制に転換したカカオは、ホン氏を委員長とする非常対策委員会を設け、再発防止と今後の補償問題について議論する協議体を立ち上げた。
非常対策委員会は原因調査小委員会、再発防止小委員会、補償対策小委員会の3分科で構成される。再発防止対策小委はナムグン氏が務める。ナムグン氏は「非常対策委再発防止小委を引き受け、今回の事故に最後まで責任を負おうと思う。足りない部分と必要な部分を埋めることに専念する」と話した。
原因調査小委は、カカオトーク開発の主役であるイ・ファギョン元カカオCTOが担う。イ・ファギョン氏はサムスンSDS、フリーチャル(Freechal)、NHNなどを経て、2016年からは開発者成長プラットフォーム「グレップ(Grepp)」を創業して代表取締役を務めている。
補償対策小委は現在、サービス、ESG(環境・社会・ガバナンス)、財務、法務など多様な組織が参加している。だが、委員長は決まっていない。
また、カカオは外部専門家と民間団体が参加する「1015被害支援協議体」を設けた。協議体は受け付けられた被害の事例を綿密に分析し、十分な議論を経て専門性と客観性、妥当性などに基づき、合理的な基準と政策を策定する計画だ。
(つづく)
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