素材の豊かさと「漫画的想像力」が市場を育てる
「ポストコロナ」時代を控え、大きな変化が予想されるコンテンツ産業のなかで、韓流はどのような変化を遂げようとしているのか。その現状を分析してみました。(シリーズ最終回)
ウェブ漫画が原作の韓国のテレビドラマ「ミセン(未生)」。この作品を描いた人気作家のユン・テホ氏はウェブトゥーンについて、次のように語っている。
「ウェブトゥーンという形式自体が米国や日本、欧州になかった非常に珍しい事例だ。ウェブトゥーンが既存の漫画というジャンルの枠を崩し、韓国の作家たちを引き立たせたという側面がある」
ユン氏はかつて、漫画家になるため門下生として弟子入りし、先生から絵を直接学び始めたという。「しかし今は漫画と関係のない専攻をしていた人たちも、漫画的な想像力を持っていれば作家になれる時代になった」とみる。
加えて、ウェブトゥーンには、漫画では経験しにくいウェブトゥーンならではの特性がある。ウェブトゥーンは、紙の本の限界を越えたUX(ユーザー経験)やUI(ユーザー環境)を読者に提供できるという点だ。
特に、この分野は韓国のウェブトゥーン・プラットフォームのレベルが非常に高い。カカオエンターテインメントプラットフォーム事業部門のパク・ジョンチョル部門長は、タイと台湾の市場に最近定着したカカオウェブトゥーンについて「UXが韓国最高のウェブトゥーンを効果的に美しく伝えている。その成果だ」と誇示する。
K-ウェブトゥーンは、従来とは全く異なる方式で消費者を集めている。多様なメディアに拡大し、市場規模を広げている。したがって、これは「従来にはないコンテンツだ」という見方も出ている。
韓国漫画映像振興院のキム・デシン戦略事業チーム長は「韓国のウェブトゥーンの競争相手は、米国のコミックスや日本の漫画ではなく、ユーチューブだ」とみる。つまり、ウェブ漫画を「スマートフォンで見る漫画」という見方ではなく、全く新しいジャンルの作品と理解すべきだ、ということだ。
(おわり)
「ポストコロナ時代の韓流の行方」はMoney Todayのハン・ミンソン、イ・チャンミョン、チ・ヨンホ、ユ・スンモク、チョン・ヒョンス、ユン・ジヘの各記者が取材しました。