落ちた理由、わからない……
韓国で大手企業の上半期の募集が始まり、就活生の苦悩が深まっています。採用試験に「非対面面接」「人工知能(AI)面接」が取り入れられ、志願者の心理的負担が増しているようです。最前線を取材しました。(シリーズ1/3)
最近、AI面接で落ちた就職活動中のイさん(26)。落ちた理由がわからず、もどかしい気分だ。「人と話をしたのなら落ちた理由が見当つく。でも機械が相手なら、それもわからない。悲しい」と吐露した。
テレビ面接を受けた就職活動中のパクさん(26)。同じくもどかしさを感じている。「採用されはしたが、面接官の顔が見えず、壁に向かって話す気分だった」
昨年、AI面接に合格した会社員のチョンさん(25)。「就活活動中の最も思い出したくない記憶1位」が「AI面接」だった。「機械に、いかに“好印象だ”と分類してもらうか、悩みながら演技するという気分だった。私がなぜ合格できたのか、いまだによくわからない」
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3月に入って大手企業の上半期の募集が始まり、採用選考試験の一つである「非対面面接」を巡って、就活生らの悩みが深まっている。特に人工知能(AI)面接の場合、「機械」が状況別の質問をして志願者の性向と力量を評価するという点で心理的により負担を感じるというのだ。
現在、サムスン、LG、SK、CJグループの主要系列会社は、今年上半期の大卒新入社員を採用する際、大部分は採用選考で非対面方式を取り入れている。
非対面面接は、企業が特定テレビ会議システムのリンクを提供し、志願者が一定の時間にアクセスしてオンライン上で面接官に会うという方式だ。
この中に、人事担当者が人ではない非対面のやり方もある。
AI面接は、プログラミングされたAIが志願者に質問し、その回答をもとに全般的な評価を下すというもの。この時、AIは回答内容だけでなく、声のトーン、表情の変化などをそこに反映する。 言語・非言語的な表現すべてに気を使わなければならないというわけだ。
予測が難しい非対面方式の特性のため、就活生らは心理的にも経済的にも負担が重くなったそうだ。
就活生のイさんはこう語る。
「志願企業や職務の分析も大変だが、新しい関門がもう一つできたという感じ。AIが好む表情、口調を研究するのがより大変だった」
就職準備期間にAI面接を4回受けた会社員、キムさん(28)はこう吐露した。
「AI面接に備えるため、1回2万ウォンずつ出して体験してみた。何かを学ぶわけでもなく、体験するだけなのにあんまりだと思った」
AI面接のための教育に資金を投じる就活生も少なくない。ソウル市江南(カンナム)区にある就職塾が実施するAI面接対策の授業は1回当たり4万ウォン。「(地方自治体から受けた)支援金が少し残っている。でも塾に使うべきなのか。高いけど、何でもやってみる価値はあるのだろうか」。ある企業の就活生が集まったオンラインコミュニティでの反応だ。
非対面に適した環境を作るのも就活生の側だ。インターネット接続、清潔な場所など、面接に臨むための環境的条件が求められる。「面接途中でネット接続が途切れたらどうしようかと心配になった。WiFiだけでは不安だったので、ネット接続回線をもう一つ導入した」(先述のパクさん)
同じ企業を受けたチェさん(25)も、対面面接のために、スタディールームを借りた。「家で面接を受けることが難しい環境なので。お金を稼ぐために入社しようとしているのに、お金が出ていくばかりだ」。こう嘆いた。
(つづく)