2024 年 6月 16日 (日)

[KWレポート] 5.1%の涙 (5)

障害者90%は後天的「これはみんなの問題」

2020年8月26日、ソウル市瑞草区の病院で、車椅子に乗る患者©NEWSIS

韓国の障害者団体が2021年12月から地下鉄でデモを続け、社会に残る障害者差別の実態を浮き彫りにしました。韓国の障害者の実情と、彼らが求めるものは何か、探ってみました。(最終回)

◇訴訟で「正当な便宜提供」を拡大

障害者10人のうち9人(88.1%)は、疾病や事故など後天的要因によって障害を得た人だ。誰もが障害者になる可能性があるにもかかわらず、韓国社会はまだ障害者が家の前のコンビニに行くことさえ難しい。

関連市民団体などによると、障害者は「非障害者にとって空気のように当然の権利であることが、障害者にも当然になるように」と、教育や移動権、職業選択の自由、居住の自由を要求している。直接働いて生活できるよう自立を支援することが、現金支給に劣らず重要だということだ。

真っ先に保障されなければならないのが「接近性」だ。どんな施設でも入って利用できてこそ日常生活を営むことができる。2008年に施行された障害者差別禁止法は「正当な理由なしに障害者に対して正当な便宜提供を拒否する場合」を差別だと規定する。

障害者は障害者差別禁止法が制定された後、各種訴訟を通じて「正当な便宜提供」の範囲を広げてきた。法的攻防の末、地方自治体の体育施設に障害者が利用できる更衣室とシャワー室が設置され、重症障害者がTOEIC試験を受けることができるようになり、修学能力試験に点字情報端末が導入された。

しかし、障害者関係者は、ほとんどの生活便宜施設は依然として障害者を差別していると指摘する。

障害者差別禁止推進連帯のキム・ソンヨン事務局長は2022年3月、国家人権委員会が開催した討論会で「全体登録障害者の中で移動のために外部支援が必要な人が81万人に達するにもかかわらず、彼らが訪問できるコンビニが全国に830店、ソウルに115店しかない」と明らかにした。

2019年に全国のコンビニ4万3975カ所のうち、スロープのような障害者に便宜を図っている設備のあるところは830カ所(1.8%)に過ぎない。残りのコンビニは床面積が法で規定した300平方メートル未満という理由で、設置義務対象ではない。小商工業者を保護するという名目だ。

ソウル中央地裁は2009年4月11日、新築、増築、改築された直営コンビニは、スロープなどを設置しなければならないと判決を出した。だが、コンビニ業界では直営店はもちろん加盟店の大部分が賃借売場であるため難色を示したとされる。

法的解決も進んでいない。国会保健福祉委員会の関係者は「全国のすべての建物とコンビニなどの施設にスロープなどの設置を義務化すれば、建物主と自営業者の大きな反発にあう。小商工業者の票を意識せざるを得ない政治家が、積極的に乗り出さないのが現実だ」と語った。

韓国障害者自立生活センター協議会のパク・ヒョン対外協力室長はコンビニなどの施設に対する設置義務化に「社会的合意が必要だ」という立場の政府に対し「今まで障害者が差別を受けてきたことは社会的合意があったので差別したのか」と怒り「正当な設置基準は、利害当事者ではなく被害当事者側にあるべきだ」と一喝した。

2019年5月2日、韓国大統領府前で、発達障害の国家責任制導入などを求めデモをする障害者団体のメンバー©NEWSIS

◇教育権保障

障害者の教育権保障も問題だ。障害者の54.5%が中卒以下の学歴だ。大卒は15.1%で、国民全体の48%の3分の1にも及ばない水準だ。

障害者保護者連帯のユン・ジンチョル組織局長は「障害者は地域社会で暮らさなければならないが、そのためには住居維持、活動支援、働き口のような環境構築が重要だ」とし、「直接働いて自立できるようにすることが最高の福祉だ。しかし、政府はこのような基盤を作るより、バウチャー(利用権)を中心とした福祉政策へ転換している」と述べた。

地方という二重差別も存在する。ユン組織局長は「バウチャー事業は利用者がいてこそ市場が作られるが、農漁村は利用者がおらず市場が形成されにくい」として「島しょやへき地には利用単価を高めたり拠点機関を作ったりするなど支援方式を変えなくてはいけないが、そのようなことは全くなく『時間当たりいくら』式で支援している」と指摘した。

障害者の住居維持についても政府レベルの支援はない。ソウル市などの地方自治体では国とは別に推進しており、相対的に地方に居住する障害者は疎外されているというわけだ。

新政権の国政課題の中で、障害者政策の最初は「個人予算制導入」だ。障害者に一定の金額を支給し、必要な社会サービスを利用できるようにする現金性の支援策だ。

利用者の選択権を最優先にするという長所があるが、民間サービス提供機関が参加して質が落ちたり、全体予算が縮小されたりする恐れがある。具体的な予算規模やバウチャー制度との統合案はまだ出ていない。

(おわり)

「5.1%の涙」はNEWSISのイ・ヨンヒ、キム・ジヒョン、ク・ムソ、カン・ジウン、キム・ナムヒの各記者が取材しました。

©NEWSIS

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