2024 年 12月 26日 (木)
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[KWレポート] 韓流俳優、ハリウッドへの階段(1)

「アカデミーに行こう」

ユン・ヨジョン/HOOKエンターテインメント提供©news1

この20年間、日本や中国などアジア圏を中心に輸出されてきた「韓流文化」が“最後の未開拓地”といわれた米ハリウッドで脚光を浴びています。韓流俳優たちのハリウッドへの道のりと今後の課題を探ってみました。(シリーズ1/計3回)

◇韓国語で演技

「私も夢を見る女優になりました。受賞直後、ユン先生(ユン・ヨジョン)とアカデミー賞まで行きたいと話しました。これからは一番を目指します」

韓国女優で初めて、カンヌ国際映画祭の主演女優賞を受賞したチョン・ドヨンはこう語った。2020年2月、映画『藁にもすがる獣たち』のPRのため、news1のインタビューを受けた時のことだ。この数日前、映画『パラサイト』(ポン・ジュノ監督)がアカデミー授賞式で、作品賞、監督賞、脚本賞、国際劇映画賞の4部門で栄誉に輝いていた。

そんなチョン・ドヨンと共演し、ともに「アカデミーに行こう」と決意した先輩女優ユン・ヨジョンは、わずか1年後の2021年4月、米独立映画『ミナリ』(チョン・イサク監督)でアカデミー助演女優賞受賞をとった。

100年目を迎えた韓国映画界に訪れたもう一つのお祝い事――ユン・ヨジョンと『パラサイト』のアカデミー賞はこう表現されたりした。

ユン・ヨジョンの受賞には、さまざまな評価がある。

まず、アジア俳優という側面。アジア人初のアカデミー助演女優賞を1958年に受賞した『サヨナラ』のミヨシ・ウメキ(梅木美代志)以来、実に63年ぶりの同部門で受賞だったからだ。

もうひとつ、韓国の俳優が韓国語で演技し、アカデミー賞をとったという点でも注目に値する。『ミナリ』は韓国系米国人監督による米映画だが、シーンの多くが韓国語だ。流暢な英語を操るユン・ヨジョンも、映画の中では韓国人2世の孫たちと言葉が通じない韓国人女性を演じた。外国人俳優が米映画で、しかも英語ではない言語の演技で受賞したのは異例だ。

©news1

『パラサイト』は4部門で受賞したものの、俳優部門の候補に名を連ねた出演者はいなかった。

ソン・ガンホ、チョ・ヨジョン、イ・ジョンウンらの演技は好評を博し、彼らを含む主演俳優全員が、全米映画俳優組合(SAG)授賞式の最高賞であるアンサンブル賞をとっている。この点を考慮すると、俳優部門での「空白」は不思議な結果といえる。外国語での演技を受け入れられない「アカデミー賞の限界」。ポン・ジュノ監督はこれを「ワン・インチ・バリアー(One inch barrier)」と表現した。

ところが、グローバル化の波は業界に素早い変化を促した。ユン・ヨジョンの受賞という「事件」はそのわずか1年後だった。

◇1990年代後半、アジアが源流

「韓流」は1990年代後半、日本や中華圏、東南アジアなどでの韓国ドラマ・映画の人気が原点といえる。

韓流スターの元祖であるアン・ジェウクやぺ・ヨンジュンをはじめ、チャン・ドンゴン、ソン・スンホン、チャン・ナラ、ソン・ヘギョ、チョン・ウソン、チョン・ジヒョンら、有名俳優らが現地で得た人気をベースに精力的な活動を展開した。

ファンミーティングやコンサートなどのイベントに加え、現地の作品にも出演した。チャン・ナラやチュ・ジャヒョンらは中国ドラマで「現地俳優クラス」の人気を得た。

韓流ブームで自信をつけたスターの一部は「ハリウッド進出」という夢に挑戦した。

韓国で実質的に、最初にハリウッドに進出した俳優は、映画『アメリカン・ドラゴン』(1998)の主人公パク・チュンフンだ。

『アメリカン・ドラゴン』は米国人の脚本家・監督による作品だが、パク・チュンフンが米国の俳優マイケル・ビーンとともに主演を務めた米韓合作だった。

米ニューヨーク大学大学院で演技教育学を学んだパク・チュンフンは、この映画でハリウッドに目をつけ、その後、ジョナサン・ナサン監督の『シャレード』(2002)で助演として活躍した。

パク・チュンフン以後、ハリウッド市場で一定の成果を出した俳優は、RAIN(ピ)やイ・ビョンホン、ペ・ドゥナらがいる。歌手兼俳優のRAIN(ピ)は『マトリックス』のウォシャウスキー姉妹監督の『スピード・レーサー』(2008)にキャスティングされ、その後、2人の監督の映画『ニンジャ・アサシン』(2009、ジェームズ・マクテーグ監督)では主人公を演じた。

“演技の神”イ・ビョンホンも早くにハリウッド進出に成功した。

『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013)のストームシャドー役でハリウッドデビューし、この映画で会ったブルース・ウィリスと『REDリターンズ』(2013)でもう一度顔を合わせた。『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015)、『ブラック・ファイル 野心の代表』(2016) 、 『マグニフィセント・セブン』(2016)などの映画で重みのある役柄を演じた。

ペ・ドゥナの場合もRAIN(ピ)のようにウォシャウスキー姉妹の作品でハリウッドに進出することになった。流暢な英語を話し、ウォシャウスキー姉妹のもう一つの演出作『ジュピター』(2015)とドラマ『センス8』シリーズにも出演した。

このように、韓流俳優らのハリウッド進出は、韓国人俳優の人気や演技力の「世界市場へのPR」に一役買った。一方で、課題も残った。韓国人俳優が出演した作品は興行面では大きな成功は収められなかった。つまり、白人中心のハリウッド市場で、業界の注目が韓国人俳優に集まるほどの“チケットパワー”(出演するだけで興行の成功がある程度、保障されるという意味)を証明できなかったのだ。

(つづく)

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