2024 年 7月 13日 (土)
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[KWレポート] 韓国社会を変えた法廷 (1)

「男だから給料を高く」がなぜ「違法」に (上)

ソウル市瑞草区最高裁判所庁舎の全景©news1

短期間で急激な発展を遂げた韓国社会には、歴史の転換点で示された数多くの判決があります。そのうちの20件を通して、韓国社会の「時代精神」がどう変化を遂げたのか探ってみました。(シリーズ1/7)

◇「性別により賃金が変わり得る」

「男性労働者は工場で重いものをより多く移動させるので、同じ工場で働く女性労働者より月給を多く支給しなければならない」

今はおかしな言葉に聞こえるが、わずか20年前まで、多くの会社の賃金体系は、このような感じだった。このため、生産ラインで男女が一緒に仕事をしても、男性の月給の方が高いのが当然視された。

特別な技術や資格の有無は関係なかった。また、就業規則で「性別により賃金が変わり得る」ということを明示した会社も少なくなかった。

まだまだ道は遠いけれども、今は性別による明示的な賃金差別の多くは、消え去った。

このように時代精神が変わったのは、「性別を賃金策定基準としてはならない」という基準を示した2003年の最高裁判決が決定的な役割を果たした。同一価値労働について最高裁が出した初めての判例だった。

韓国の法律は、同じ事業における同一価値の労働に対し、女性と男性の賃金を差別することを禁止している。

同一価値労働に対する同一賃金規定が初めて登場したのは1989年だ。男女雇用平等法が初めて改正され「事業主は同じ事業内の同一価値の労働に対しては同じ額の賃金を支給しなければならない」という規定ができた。

だが、現実には、法にうたわれたような状況になかなか進まなかった。

性別を理由に賃金を差別する事業主が依然として存在した。同一価値労働の基準についても、どのように具体的に判断すべきか、規定もなかった。

2003年に最高裁判決を導き出した事件の発端は、1990年代にさかのぼる。

最高裁の外観©news1

◇同一価値労働を認めた最初の最高裁判決

京畿道平沢にあるタイル製造業者の代表A氏――。

1995年~96年に男性と女性労働者の日給を別に支給し、男女雇用平等法などに違反したとして裁判に付された。

A氏の男女雇用平等法違反を巡る下級審の判断は、交錯した。

この業者の就業規則には「従業員に対する賃金は性別、学歴、年齢、経歴、技術程度により決める」と規定していた。1審はこれを根拠に有罪判決を言い渡した。就業規則だけを見ても性別により差別的に賃金を支払ったと認められる、という理由からだ。労働価値の同一性は問わなかった。

だが、2審の判断は違った。

該当業者の製造工程をプロセス別に分けたあと、「女性職員の仕事は、特別な技術や熟練度、体力を必要としない業務である。半面、男性職員の仕事は、重い機械や原料を運搬、投入しなければならないなど体力を必要とする業務」と判断した。

その結果、2審裁判所は「女性職員が担当してきた労働と、男性職員が担当してきた労働は、その業務の性質、内容、技術、努力、責任の程度、作業条件などに照らして、同一価値の労働に該当するとは認められない」として、男女雇用平等法違反の箇所は無罪とした。

ところが、最高裁で結論は再び覆された。

「男性労働者が重い物を運搬して扱うなど、より多くの体力を消耗する労働に従事したことは事実だ」と認定しながらも、賃金差別支給を正当化するほど「技術」と「努力」上の差があるとはみられない――との見解を示した。

また、女性と男性労働者は、ともに一つの工場内で連続した作業工程に配置され、協同体として、ともに勤めている。それゆえ工程により、危険度や作業環境に特別な差がない。「作業条件」が違うとまでは言えず、すべて日雇い労働者であるため、「責任」の面でも特別な差がない、と判断した。

この判決が、女性と男性の同一価値労働を認めた最初の最高裁判決となった。また、法律の条項だけに存在した同一価値労働に対する定義と判断基準を最高裁が具体的に示した判決でもあった。

◇初めて具体的な解釈

それまでの同一価値労働に対する基準は、法令上だけで簡単に規定されていた。男女雇用平等法では同一価値労働基準を職務遂行で要求される▽技術▽努力▽責任▽作業条件――の四つと規定しているだけで、他に特別な説明はない。

最高裁は当時、同一価値労働の定義と、これを判断する基準に関し、初めて具体的な解釈を出した。

同一価値の労働とは「互いに比較される男女間の労働が同一であるか、実質的にほぼ同じ性質の労働、またはその職務が多少違っても、客観的な職務評価などにより、本質的に同じ価値があると認められるもの」をいう。

基準に対しては「技術と努力、責任および作業条件をはじめ、学歴、経歴、勤続年数なども総合的に考慮して判断しなければならない」とした。

また「技術」など四つの条件についても、どのような方法で評価すべきか詳しく説明した。

最高裁は「技術」とは資格証、学位、習得された経験などによる職務遂行能力または腕前の客観的水準を意味し、「努力」は肉体的および精神的努力と作業遂行に必要な物理的および精神的緊張、すなわち「労働強度」を意味すると定義した。「責任」は業務に内在した義務の性格、範囲、複雑性、事業主が当該職務に依存する程度を意味するとしており、「作業条件」は騒音と熱、物理的・化学的危険、孤立、寒さまたは暑さの程度など通常的に処する作業環境だとした。

これが、最高裁が男女雇用平等法の同一労働価値条項を明示的に適用し、同一価値労働を解釈する基準を判決文に記した初めての事例だった。

(つづく)

©news1

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