日本との協力、いとわず
韓国でユン・ソンニョル(尹錫悦)政権が誕生して以後、内政や外交、南北関係で新たな動きが始まっています。最新の状況を交え、まとめてみました。(最終回)
◇北朝鮮の挑発に対応…「米韓同盟」を強化
ユン大統領は、北朝鮮の核に対する「決然たる意志」のための方法として「米韓同盟の強化」を選択した。特に軍事同盟を跳躍的に発展させ、北朝鮮核に対する米国の拡大抑止力を強化するという計画だ。
まず、米韓国防当局間の定例・随時協議を強化し、緊密な政策協力を維持する。このため、ユン政権は「追悼の壁」の除幕式などを契機に米韓国防相会談を2回開催した。また、北朝鮮の核・ミサイル脅威に共同対応するための大臣間の有線協議も3回開催した。
米韓両政府は、外務・防衛当局の次官級高官による「拡大抑止戦略協議体(EDSCG)」も約5年ぶりに再開し、米国の拡大抑止力を強化した。EDSCGは、韓国が受ける核攻撃の脅威を米国が制止することを議論する協議体で、2018年以来、4年8カ月ぶりに先月、米首都ワシントンで開催された。
両国は共同声明を通じて「米国は適時、効果的な方式で域内戦略資産を展開し、訓練するために韓国との協力を強化することにした」と明らかにした。北朝鮮の7回目の核実験の可能性についても「北朝鮮の核実験は強力で断固たる汎政府的対応に直面するだろう。すべての可能なシナリオに備えており、具体的な方法を緊密に調整している」と強調した。
北朝鮮の核の脅威に対応するためなら、日本との協力もいとわないという意志も表明した。日本とは歴史問題や、島根県竹島(韓国名・独島)をめぐる問題などがあるが、国民の生命・財産を保護するためなら協力できるという立場だ。
このような意思の表現で、韓国海軍は米国の原子力空母打撃群、日本の海上自衛隊とともに先月30日、日本海上で連合対潜戦訓練を実施した。日米韓3カ国が合同訓練を実施したのは2017年以来のことだ。
また、北朝鮮のミサイル脅威が高まると、今月6日、再び3カ国合同演習を実施した。この訓練は北朝鮮の弾道ミサイル挑発状況を想定し、標的情報共有を通じた探知・追跡・迎撃手続きを習得することに重点を置いた。
◇「韓国型3軸システムの能力向上」
北朝鮮の核対応のために「韓国型3軸体系」能力を向上させるという点も強調した。
「韓国型3軸体系」は北朝鮮の核・ミサイル攻撃および脅威に対応するための韓国軍の対応体系だ。有事の際、北朝鮮の核・ミサイルを先制攻撃する「キルチェーン(Kill Chain)」、北朝鮮が発射したミサイルを迎撃する「韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)」、弾道ミサイルを大量に発射して北朝鮮に報復する「大量報復(KMPR)」を意味する。
イ・ジョンソプ(李鍾燮)国防相は「2022ソウル安保対話」で「韓国政府は北朝鮮の核・ミサイル脅威を効果的に抑止および対応するため、米拡大抑止の実行力を向上させ、韓国型3軸体系など韓国軍の独自能力も拡充している」と明らかにした。
軍の3軸体系強化の意志は、今回の予算案にも明らかになった。
政府が編成した来年度国防予算は、今年の本予算比4.6%増加した57兆1268億ウォンであり、特に韓国型3軸体系能力強化のために5兆2549億ウォンが編成された。
軍はまだ、妥当性調査が進行中の「3軸体系」新規事業を年末までに予算案に含ませるという計画だ。イ・ジョンソプ氏は「来年度予算に5兆ウォン以上、反映されるだろう」とし、3軸体系強化の意思を明らかにした。
3軸システムのうち、大量報復(KMPR)の核心である「玄武5」ミサイルも公開し、その威力を誇示した。今月1日、国軍の日の行事中、映像を通じて高威力弾道ミサイル「玄武5」の試験発射場面を公開したのだ。
玄武ミサイルの具体的な諸元は極秘事項だ。玄武系列のミサイルは弾頭重量推定値が9トンまで提示されたことがあり、1発で北朝鮮の地下バンカーまで焦土化させることができる韓国軍の核心戦力に挙げられる。
ユン大統領も「北朝鮮の核とミサイルの脅威を圧倒し、韓国国民の生命と安全を守るために韓国型3軸体系を早急に構築する。これにより、対北朝鮮偵察監視能力と打撃能力を画期的に補強する」と強調している。
(おわり)
「韓国“リセット”」はNEWSISのパク・ミヨン、キム・ジフン、ヤン・ソリ、ホン・ヒョシク、ハ・ジョンミンの各記者が取材しました。
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