安米経中から安米経世へ
韓国でユン・ソンニョル(尹錫悦)政権が誕生して以後、内政や外交、南北関係で新たな動きが始まっています。最新の状況を交え、まとめてみました。(シリーズ3/8)
◇米韓同盟、安全保障と経済包括的戦略同盟へ
ユン政権発足5カ月、外交政策にも変化が目立つ。米韓同盟を中心に域内の安全保障協力を強固にし、自由の価値による連帯の強化を図りつつ、経済的には中国依存度を下げようとしている。
まだユン氏が大統領就任10日という5月の段階で、バイデン米大統領が韓国を訪れた。歴代の新大統領就任後、最短期間で実現した米韓首脳会談で、ユン大統領とバイデン大統領は両国関係を「グローバル包括的戦略同盟」に格上げすることで合意した。
両首脳は、米韓同盟に基づいた対北朝鮮の拡大抑止の強化はもちろん、経済安全保障的側面でサプライチェーン協力の強化なども積極的に推進することで意見が一致した。その後、米国主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)参加を公式化するなど密着度を高めた。
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に韓国大統領としては初めて出席したユン氏は、バイデン大統領と約1カ月ぶりに再会し、対北朝鮮拡大抑止協力の意思を改めて確認した。域内の安全保障問題に対応するための日米韓3カ国の協力意思も明らかにした。
ユン大統領が就任初の国連総会出席などのための歴訪に向かう前、米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで「米韓同盟を基盤に拡大抑制を強化することから(北朝鮮の核対応)解答を見つけたい。拡大抑制は、米領土内の核兵器を有事の際に使用するということだけでなく、北朝鮮が核で挑発することを抑止できるすべてのパッケージを総体的に網羅することだ」と明らかにしたのは、米韓同盟が堅固だという確信から出た発言とみることができる。
◇中国とはやや遠ざかり
先月末に韓国を訪れたハリス米副大統領もユン大統領に会い、「米韓同盟は朝鮮半島とインド・太平洋地域、そして世界的、に安全保障と繁栄の重要な軸になってきた」と評価し、堅固さを誇示した。
大統領室は2日、キム・ウネ(金恩慧)広報首席の書面ブリーフィングで、ユン大統領の米ニューヨーク(国連)やカナダ歴訪、ハリス米副大統領訪韓など、最近あった一連の外交行事に言及して「強固になった国益と同盟を確認した」としてこれまでの外交的成果を浮き彫りにした。
ユン政権が米主導の国際秩序に積極的に参加したことで、米国と覇権競争を繰り広げている中国とは多少遠ざかるようになった。
IPEFは中国主導の域内包括的経済連携協定(RCEP)をけん制する性格のサプライチェーン協議体だ。
韓国政府はIPEF加入には「中国を排除する意図はない」という点を強調したが、額面通りに受け入れられているわけではない。米国、日本、台湾とともに構成することになる半導体同盟、いわゆる「チップ4」も、やはり中国に対抗するという性格が強い。
(つづく)
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