◇「嫌悪施設」にされたデータセンター
韓国京畿道(キョンギド)龍仁(ヨンイン)の竹田(チュクチョン)洞一帯に建設されるデータセンター。今年に入り、近隣住民の間では連日、反対デモが続いている。
「お母さん怖いです、登校途中の高圧線決死反対」
「竹田住民みんな死ぬ、データセンター決死反対」
市民らは、データセンターの超高圧電線が有害電磁波を発生させる恐れがあると考え、周辺への健康被害を懸念している。
竹田だけでない。京畿道安養(アニャン)虎渓洞(ホゲドン)や始興(シフン)ペゴッ洞、金浦(キムポ)九来洞(クレドン)など、首都圏一帯に建設が推進される超大型データセンター敷地の近隣には、「がん誘発電磁波心配、データセンター出て行け」などの字句が書かれた垂れ幕が掲げられている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とデータ経済の最重要インフラに挙げられるデータセンターは最近、「嫌悪施設」と認識されているのだ。
数万から数十万台に達するサーバーなどIT設備が運用されるデータセンターは、15万4000ボルトに達する超高圧電力を数十メガワット以上供給しなければならない。冷却過程で必要とされる水資源汚染の懸念も指摘されている。
敷地の確保から建設に至るまでのプロセスにおいて周辺住民の反発は強く、進行中の事業にブレーキがかかることもある。
今年に入って、韓国のIT専門企業「ダウ技術」が龍仁に建てようとしたデータセンターは、役所から着工申請が差し戻された。LGグループのシステム構築「LGシーエヌエス(CNS)」の竹田(チュクチョン)データセンターは既に着工しているものの、苦情が相次いだため、市民の安全を強化する設計補完計画を役所に提出するよう求められた。
◇「ソウルから離れれば滅びる」
一方で、非首都圏地域の自治体は、税収確保や関連企業誘致、就職口拡大などを念頭に、データセンター誘致に積極的だ。
ネット大手ネイバーは江原道(カンウォンド)春川(チュンチョン)に続く第2のデータセンターを龍仁市器興区(キフング)に建設しようとしたが、住民の反対で撤回し、データセンター敷地の公開募集に乗り出した。その結果、2019年に韓国中部の世宗市(セジョンシ)が96倍の競争率を勝ち抜いて最終的に選ばれた。
このほかに江原道春川や平昌(ピョンチャン)、全羅南道(チョルラナムド)順天(スンチョン)などの地方自治体がデータセンタークラスター、産業団地造成などを掲げて誘致を積極的に推進している。
ここで問題がある。
非首都圏自治体の熱意にもかかわらず、データセンター事業者は現実的には、首都圏を離れるのが難しいという点だ。
あるデータセンター業界関係者は「首都圏第1循環高速道路(ソウル市とその外郭地域を囲む環状の高速道路)の外にデータセンターを建てれば、滅びる」という話を口にする。
韓国上場企業の70%以上、主要公共機関のうち44%が首都圏に位置している。首都圏第1循環高速道路の外であれば、企業・機関の顧客の確保が難しくなるうえ、投資家も離れてしまうということだ。
首都圏データセンターの価値はますます高まる。その一方で、首都圏へのデータセンター構築はますます難しくなっている。
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