エルメス、ヴィトン、シャネルなくても…
◇「新聖地」戦略、通用した
現代、新世界、ロッテ――韓国の百貨店3社が2021年、勝負に出た。新規店舗を開く際、新ブランドを次々に誘致した。新規店舗がオープンする際、エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネルの3大ブランドの看板はなかった。
「ザ・現代ソウル」はオープン当時、ルメール、メゾンマルジェラ、メゾンキツネなどをテナントに入れ「新ブランド」の聖地としての地位を固めた。「大田(テジョン)新世界」も似たようなラインナップでオープンした。「東灘(トンタン)ロッテ百貨店」もロエベ、ゴールデングース、メゾンマルジェラなど30余りの新ブランドでラグジュアリー館を埋めた。
3大ブランドなしにオープンし、百貨店は定着するはずがない――こんな厳しい見方もあった。
だが、結果は逆だった。感覚的なデザインとともに、新ブランドが各店を「MZ世代の遊び場」にする役割も果たした。
ザ・現代ソウルはオープン初年度に8000億ウォンの売り上げを記録、今年は1兆ウォンを目指す。大田新世界も開店1年半で損益分岐点を超える勢いだ。
MZ世代が熱狂する新ブランドを集中的に入れ、むしろ予想を上回る成功につながったわけだ。
新規店舗だけでなく、百貨店業界は、新ブランドを中心としたファッション部門の勢いを十分享受している。
新世界百貨店は第3四半期の売り上げが前年同期比19.8%増の6096億ウォン、営業利益は50.5%増の1094億ウォン。ロッテ百貨店は営業利益1089億ウォンで黒字に転じ、現代百貨店は965億ウォンで64.6%増えた。これにはファッション部門の寄与が大きかった。
◇トップがブランド専門家
こうした好成績の要因として、業界関係者が指摘するポイントがある。
百貨店3社のトップが「海外ブランド導入経験のあるブランド専門家」である点だ。
昨年末からロッテショッピング百貨店事業部を率いているロッテ百貨店代表のチョン・ジュンホ氏。新世界百貨店に入社し、新世界インターナショナル海外ファッション本部長など経て、2019年からロッテGFR代表を務めた。新世界インターナショナルで海外事業を担当し、モンクレア、アグ、メゾンマルジェラなど30余りを超える海外有名ブランドを国内に持ち込んだ人物だ。
新世界のソン・ヨンシク代表。2012年から商品本部長副社長補、2014年にはファッション本部長副社長補などを経て新世界DF代表を務め、ブランド品などを誘致した経験がある。
現代百貨店のキム・ヒョンジョン代表も木洞(モクトン)店長と百貨店買入本部長を経て、7年間、ハンソム代表を務めたファッション専門家だ。
百貨店業界には、リニューアル戦略を強化して新ブランドを増やす傾向がある。そのため、業界の「新ブランド」へのラブコールは当面、続く。
(つづく)
(c)MONEYTODAY