2024 年 10月 12日 (土)
ホーム特集KW レポート 韓国「新ブランド」争奪戦(1)

[KWレポート] 韓国「新ブランド」争奪戦(1)

平凡になりたくない20~30代に「満足感」

サムスン電子がメゾンマルジェラとコラボした「ギャラクシーZフリップ4」スペシャルエディション(サムスン電子提供)(c)news1

韓国で若い世代が好む新ブランドが登場し、輸入衣類市場が過去にない成長ぶりを見せている。ソーシャルディスタンスの解除で衣類需要が急増したことと、コスパよりは価心比(価格に対する心の満足度の比率を意味する略語)に重きを置く若い世代の消費性向がかみ合った。まさに新ブランド時代だ。

◇「若い感性と高級イメージ」

「ブランド or nothing」。景気が低迷する中、ブランド品の販売が急増している。

サムスン電子のギャラクシーZフリップ4、ラネズネオクッション、現代カード、ヘリノックス――これらの共通点は、新ブランドのメゾンキツネ、メゾンマルジェラ、トムブラウンなどとコラボ製品を出したということだ。

若い感性と高級イメージの結合だ。

サムスンKPMG経済研究院が今年発刊した報告書によると、「新ブランド」は、ちょっとした贅沢のために財布を開ける消費者が増え、誕生した。超高価な既存ブランド商品を買う余力はないが、平凡になりたくない20~30代が、100万ウォン以下の製品で満足感を求めるというわけだ。

ここに、新型コロナウイルスの感染に伴う報復心理▽SNSで個人の消費が他の人の消費に影響を受ける「消費ネットワーク効果」――が重なり、ブランドの両極化は社会的な流れとして位置づけられている。

こうした傾向は輸入衣類で目立つ。衣類輸入額は過去最高に向かっている。関税庁によると、今年の衣類輸入額は10月末までに107億ドルだ。ドル高にもかかわらず、昨年の年間輸入額(108億ドル)に近づいた。衣類輸入額は2018年に100億ドルを初めて突破したが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2020年は93億ドルに減少した。しかし、昨年再び100億ドルを突破した。110億ドルの新記録達成も遠くない。2012年の輸入額が61億ドルだったので、10年間で約2倍に増えたわけだ。

新ブランドを積極的に発掘してきたサムスン物産ファッション部門と新世界インターナショナルの業績も改善された。

サムスン物産ファッション部門は第3四半期の累積売上高が1兆4600億ウォン、営業利益は1330億ウォンだった。第4四半期は繁忙期なので、サムスン物産ファッション部門は2015年の合併後、初めての売上高2兆ウォン突破が有力視されている。営業利益はすでに昨年の年間水準(1010億ウォン)を超えている。

新世界インターナショナルも今年第3四半期の累積売上高が1兆1230億ウォン、営業利益は960億ウォンだった。すでに昨年の年間営業利益(920億ウォン)を上回っている。

◇自主ブランドにも恩恵

両社の業績をけん引したのは輸入衣類だ。

サムスン物産ファッション部門はアミ、メゾンキツネ、ルメール、トムブラウンなどを、新世界インターナショナルはメゾンマルジェラ、マルニ、アクネ ストゥディオズなどを輸入販売している。通常、新ブランドの事業構造上、自社ブランドに比べ利益率は低いが、需要が急増し、新商品の正常価格販売率が高くなり、営業利益もそれだけ増えた。

あるファッション業界関係者はこうささやく。

「新ブランドをオフィシャルに流通させることができれば、ファッション企業としての地位が上がる。自主ブランドも恩恵を受けるという効果がある。どの百貨店に入るか、店内の売り場の位置をどうするのか、販売単価をいくらにするかなどを調整できる力が生まれる」

流通会社は「並行輸入」を通じてでも人気ブランドの誘致を図る。

並行輸入とは、海外の有名ブランド品などを、正規の代理店とは別ルートで輸入することだ。正規代理店以外の第三者が、外国で合法的に製造・販売された真正品を購入し、当該国の総代理店契約者らの許諾なしに輸入する。メーカー管理外商品であり、パッケージなどがライセンス商品と異なる場合がある。

韓国のファッション市場で新ブランドの比重が大きくなるにつれ、国内企業も海外ブランドの誘致に積極姿勢をみせている。

ハンソムは今年、スウェーデンブランド・アワーレガシーの国内独占流通契約を締結。来年上半期には輸入衣類ショップブランド「トム・グレイハウンド」の男性専門売り場をオープンさせる。並行輸入市場も拡大する。ロッテショッピングのeコマース事業部「ロッテオン」、新世界グループeコマースプラットフォーム「SSGドットコム」など、オンライン上はもちろん免税店、大型マート、中小型ファッション企業まで並行輸入を通じて商品群を増やしている。

仁荷(インハ)大消費者学科のイ・ウンヒ教授は「新ブランドの主要消費層であるMZ世代は、豊かな時代に生まれ育ち、お金を稼ぐことにも、使うことにも関心が高い。韓国内外の経済不安の中でも、自分に満足感を与える消費は減らせないと思う」と分析している。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular