2024 年 3月 4日 (月)
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[KWレポート] 韓国「サービス格差」の闇 (1)

「未明配送が非日常」…同じ国なのか

©news1

韓国ではソウル首都圏に人口の半分以上が集中しています。このため、首都圏では一般化しているサービスでも、地方には行き渡っていないものも少なくありません。この国のサービス格差の現状を取材してみました。(シリーズ1/5)

◇「ク勢圏地図」描いてみたら…

Aさんは、ソウルから地方都市に赴き、そこで1カ月間暮らした。

家族とのんびりした生活を楽しんだ。だが、実感したのは「不便さ」だった。

「ソウルでは当たり前だった『未明配送』ができないんです」

「未明配送」とは、オンラインやモバイルで食品などを注文すれば、翌日未明に受け取ることができるサービスだ。

インターネット上のコミュニティでもこんな書き込みが目立つ。「引っ越したのですが、ここでは未明配送はダメですか……」

こうした状況を象徴する新造語がある。「ク勢圏」――韓国ネット通販大手「クーパン」の主要サービス地域を指す言葉だ。

同じような表現は他にもある。

「ス勢圏」――スターバックスコーヒー(Starbucks Coffee)に近い地域。

「便勢圏」――コンビニエンスストアに近い地域(韓国語のコンビニを漢字表記すると「便宜店」となることにちなむ)

首都圏では一般化しているサービスなのに、地方の人々には遠い国の話なのだ。生活に密接なサービスであればあるほど、疎外地域の不便は大きくなる。

国土の不均衡発展がもたらした地域間生活サービスの格差の原点――。

地域別クーパンの未明配達サービスの状況©MONEYTODAY

◇サービス地域を調査してみた

MONEYTODAY取材チームが、クーパンのサービス地域を全数、調査してみた。たとえば、ある自治体の中心部(市役所や郡庁など官庁)の住所地で未明配送が可能か――を基準に、その自治体が「ク勢圏」かどうか判断した。「未明配送」の種類は、前日に注文すれば翌日未明までに配達してくれるクーパンの「ロケット・ワウ」と「ロケットフレッシュ」に限定した。

その結果、調査対象229地方自治体のうち、未明配送が可能な地域は106カ所(46.3%)だった。

未明配送が可能な地域は、やはり首都圏と広域市に集中した。ソウルは全地域で「未明配送」を利用することができる。京畿道は31の自治体のうち、21の自治体でサービスが展開されている。だが、京畿道の東部圏と南部圏は「未明配送」が不可能だ。

仁川広域市は江華を除くすべての地域で「未明配送」を利用できる。首都圏全体を見ると、66自治体のうち55(83.3%)で「未明配送」が可能だ。全国平均の約2倍だ。

他の広域市(大田、大邱、光州、蔚山、釜山)もすべて「未明配送」が可能で「ク勢圏」に入る。特別自治市の世宗もサービス可能地域だ。

特別自治道である済州は、官庁所在地を基準とした場合、「未明配送」はできない。世宗や済州を含む広域団体だけを基準にすれば、済州市や西帰浦市(両市とも済州島)、仁川・江華の3カ所を除き、74自治体で「未明配送」が受けられる。

一方で、首都圏と広域市を除いた地域は疎外地域だ。

江原道や全羅南道は「未明配送」可能地域が1カ所もない。忠清北道清州と全羅北道全州は「未明配送」可能地域が1カ所しかない。

忠清南道では牙山と天安でのみ、部分的に「未明配送」を利用できる。慶尚北道では慶山、亀尾、金泉、漆谷、慶尚南道では金海、梁山、昌原が可能だ。大半が広域市と隣接している。ソウルと釜山を結ぶ「京釜高速道路」ラインとも重なる。

(つづく)

©MONEYTODAY

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