2024 年 11月 2日 (土)
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[KWレポート] 金正恩氏の北朝鮮、生き残りをかける次の10年(3)

キム・ジョンウン人事

2011年12月に営まれたキム・ジョンイル氏の告別式©news1

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は2011年12月、父キム・ジョンイル(金正日)氏の死去を受け、27歳の若さで最高指導者の地位につきました。キム・ジョンウン体制の10年の歩みと今後の課題を考察してみました。(シリーズ3/計4回)

◇側近の浮上

雪の降る2011年12月28日、キム・ジョンイル氏の告別式の日、キム・ジョンウン氏は父親に近い幹部と共に霊柩車を護衛した。

新しい最高指導者の登場を知らせる象徴的といえる瞬間、父親の最側近に囲まれた若いキム・ジョンウン氏の姿から“北朝鮮の未来は不安定”と予想された。

だが、10年が過ぎた今、キム・ジョンウン氏のそばから当時の「霊柩車7人組」は消え、強固な権力として鮮明な「キム・ジョンウン氏の人事」で満たされている。

キム・ジョンイル氏の突然の死で最高指導者になったキム・ジョンウン氏だが、脆弱な権力基盤を固めるために選択した方法は、解任・復権の繰り返しと、残忍な粛清に代弁される「恐怖政治」だった。

キム・ジョンウン氏は大々的な粛清を断行した。父親の寵愛を受けていたリ・ヨンホ(李英浩)軍総参謀長(当時)をはじめ、叔父のチャン・ソンテク(張成沢)氏らが粛清された。権力の核心だった「霊柩車7人組」は、キム・ジョンウン氏政権発足から5年で、それぞれの理由で消えていった。その次にヒョン・ヨンチョル(玄永哲)氏やキム・ウォンホン(金元弘)氏、ファン・ビョンソ(黄炳瑞)氏らも注目されたが、彼らも長続きしなかった。

繰り返される人事改編は、外部に不安な印象を与えた。父の「先軍政治」から党中心に統治構造を取り戻そうとする過程で避けられなかった、という解釈もあるが、「若い指導者の判断力不足」という批判的な見方もあった。

代表的な事件としてはキム・ジョンナム(金正男)氏の一件。キム・ジョンウン政権発足後、北朝鮮に戻れず外国で暮らしていたキム・ジョンナム氏が「暗殺」された。北朝鮮は「暗殺」を否定しているとはいえ、体制の不安定性を露わにした事例とされている。

◇原則とシステムに基づく決定

執権10年を迎えた今、キム・ジョンウン氏の「側近グループ」が鮮明になりつつある。チェ・リョンヘ(崔竜海)最高人民会議常任委員長、チョ・ヨンウォン(趙勇元)党書記、キム・ヨジョン(金与正)党副部長に代表される「キム・ジョンウン氏に近い人物」が国内外に関する事案で、主導権を握っている。

チェ・リョンヘ氏は、世代交代の中でも生き残り、国務委員会第1副委員長も兼任する北朝鮮の公式序列ナンバー2となった。抗日パルチザン革命第1世代であるチェ・ヒョン(崔賢)元人民武力部長の息子ということに加え、実務能力を備えたチェ・リョンヘ氏は、若い指導者を補佐しながらもバランスを取り、体制の安定に役割を果たしていると評価される。

チョ・ヨンウォン氏は、キム・ジョンウン時代に最も地位が上がった人物で、公式序列を超えた「最側近」と考えられている。2014年からキム・ジョンウン氏を最も近くで補佐してきたチョ・ヨンウォン氏は、キム・ジョンウン氏の公開活動に最も多く随行した幹部でもある。

国内日程だけでなく2018~19年の米朝首脳会談と南北首脳会談にも同行し、キム・ジョンウン氏を一つ一つ補佐しながら存在感を示した。「キム・ジョンウン氏の影」「実力者の側近」という言葉まで出ている。

側近の中で最も関心を集めている人物は妹のキム・ヨジョン(金与正)氏だ。キム・ヨジョン氏はキム・ジョンウン政権初期に「補佐」役として登場し、2018年の平昌冬季五輪では特使として訪韓、その後、対南・対米問題にも本格的に関与し始めた。

公式の肩書きは党副部長だが、対南・対米関係での談話を本人名義で発表したほか、「私は委員長同志と党、国から与えられた私の権限を行使する」と明らかにするなど、国政全般に徐々に深く関与する姿を見せている。最近、キム・ヨジョン氏は国務委委員にも就任している。

これは、父キム・ジョンイル氏の妹キム・ギョンヒ(金慶喜)氏の行動と比べても、はるかに幅広い行動と評価されている。キム・ギョンヒ氏は党軽工業部長など重職を担い、「実力者」として強力なイメージはあった。ただ、党の宣伝扇動部や組職指導部など核心部署には入らず、公式に国家運営の前面に立ったことはない。

キム・ジョンウン体制が安定し、権力基盤が強化されればされるほど、大きな枠組みでは原則とシステムに基づく決定が重要視されている。

(つづく)

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