
注目すべきは、量刑基準と法定刑の間にギャップが大きいという点だ。ルナ投資家の怒りを買っている「詐欺犯罪」を例に挙げてみる。
刑法の詐欺罪は10年以下の懲役に処することができる。被害者1人から得た利得額が5億ウォン(1ウォン=約0.11円)を超える場合、特定経済加重処罰法(特経法)上の詐欺罪が適用され、この場合、懲役30年が上限だ。
詐欺罪のほか他の罪状も加われば、最長で50年まで収監されることになる。それゆえ、法そのものは強いといえる。もっとも、1人から得た利得額が50億ウォンであれば、無期懲役も言い渡されることもあるが、こうしたケースはまれなため、例外とする。
半面、量刑基準では、損害額が5億ウォン以上50億ウォン未満の犯罪は、基本的に3~6年を宣告することになっている。300億ウォン以上の犯罪は6~10年。「被害者多数」といった加重要素を反映しても、最大8~13年だ。
◇「量刑基準を逸脱するのは勇気がいる」
詐欺だけではない。
軽い処罰の定番である誣告罪の場合、法定刑は10年以下の懲役。特別犯罪加重処罰法(特加法)上、誣告罪は3年以上30年以下の懲役だ。しかし、量刑基準上、一般の誣告は6カ月~2年、特加法は2~4年が基本となっている。
量刑基準に従うのは義務ではない。量刑基準を超えて宣告することもできる。ただ、量刑基準に従わない場合、適切な理由を判決文に書く必要がある。上級審で「量刑不当」を理由に破棄される場合もある。
量刑基準を逸脱するのは勇気がいることだ。
量刑委員会によると、2018~22年の全裁判所の量刑基準順守率は91.1%に達する。今の問題は「判決と法感情の乖離」と言うより「量刑基準と法感情の乖離」といえる。
(つづく)
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