産業界全般に風…船舶・掘削機・ロボットまで
技術発展に伴い、韓国の産業界の各分野で自動化が加速しています。自動運転技術が発展し、自動車や各種ロボットに続き、船舶や建設機械まで無人システムが広がる雰囲気になっています。現状を取材しました。(シリーズ1/5)
自動車産業で推進されている自動運転は、無人化が進む最も代表的な分野だ。周辺環境を認識して危険を判断し、走行経路を選択し、運転者の操作なしに、自ら走行する車が自動運転車だ。
米国自動車技術者協会(SAE)は、自動運転車の技術を非自動運転であるレベル0から部分的な自動運転であるレベル1~3、完全自動運転であるレベル4~5の6段階に区分している。
このうち突発事態に対して人が対応するレベル3から、機能をオンにすれば非常時にも人の介入なしに走行するレベル4、常時すべての運転が自動化されている完全自動運転であるレベル5などを自動運転車に分類する。
既にテスラ、ベンツ、BMW、百度など海外メーカーをはじめ、韓国では現代自動車、起亜自動車など完成車メーカーを中心にさまざまな技術開発が活発に進められている。
国内でも既に自動運転サービスがテスト導入される段階だ。現代自動車は国内で最も道路が混雑しているソウル市江南区と瑞草区の一部地域でレベル4を適用した電気自動車「アイオニック5」でカーヘイリング(車両呼び出し)モデルサービスである「ロボライド(Robo Ride)」の実証実験を開始した。
このため、現代自動車は事前に国土交通省から自動運転自動車の臨時運行許可を取得した。ロボライドモデルサービスは、市民の出・退勤時間を避け、平日午前10時から午後4時まで運営される。非常時に備え1人が運転席に座って状況に対応し、乗客は最大3人まで搭乗できる。
混雑した都心環境に対応するため、交通信号と自動運転車が連動するインフラを構築し、2019年から江南地域で走行データを収集した。今回のテストを通じて自動運転データをさらに積み上げ、技術を高度化し、早ければ2022年7月から一般顧客にサービスを拡大する計画だ。
◇サービングロボット・防疫ロボット
ロボットは既に多様な分野で使われている。現代重工業グループの系列会社「現代ロボティクス」は、給仕ロボットに続き、今年7月初めに韓国国内で初めて対面防疫が可能なロボットを発売し、サービスロボット事業を本格化させた。
防疫ロボットは病院の手術器具殺菌に使われる「プラズマ」方式で大気を殺菌し、「UVC(Ultra violet C)LED」をロボットの底面に設置して床を殺菌する。
停止状態で152平方メートルの防疫作業が可能で、自動運転で移動するため、空気清浄機や殺菌機を設置しにくい商業用ビルや病院、学校事務所などのロビーと通路で防疫活動できるのが長所だ。
これに先立ち、昨年3月には韓国通信大手KTと共同で開発したホテルロボットを「大邱マリオットホテル」に提供するなどホテル、食堂などに自動運転サービスロボットを導入している。
斗山ロボティクスも今年5月、ドイツ・ミュンヘンで開かれた「オートメティカ(Automatica)2022」展示会に参加し、ヌードルロボットやビールロボットなどを初めて披露した。ヌードルロボットは現在、韓国の大型レストランで使われている製品でうどん、パスタ、温めんなど20種以上の麺料理を1時間当たり最大60杯作ることができる。
◇人の領域を代替
物流分野でもロボットが人の領域を代替している。
CJ大韓通運は、独自開発した▽オーダーピッキング(Order Picking)最適化▽異機種物流自動化設備の統合管理やシステム▽デパレタイズシステム(Depalletizing System、パレットに積載されたボックスをコンベヤーベルトに移すロボット)やその制御――などを現場で実用化している。
オーダーピッキングは、倉庫で顧客の注文別に品物を集める過程で、ピッキングカートやロボットが最適の動線を探して移動できるよう効率性を高める技術だ。
デパレタイズシステムは、人工知能(AI)のディープラーニング技術を通じて箱の体積を認識し、一度にいくつの商品を持ち上げることができるかを判断し、作業員が嫌がる単純反復作業をロボットが担う。
無人・自動化は船舶や掘削機などにも広がっている。
HD現代の自律運航専門会社「アビカス」は最近、世界で初めて自律運航可能な大型船舶による太平洋横断に成功した。18万トン級の超大型LNG運搬船「プリズムカレッジ」号が今年6月1日、米南部メキシコ湾沿岸のフリーポートを出発し、パナマ運河を通過して太平洋を横断して33日間の航海を終え、忠清南道保寧のLNGターミナルに到着した。
この船舶にはアビカスの2段階自律運航ソリューション「ハイナス(HiNAS)2.0」が搭載された。
ハイナス2.0は現代グローバルサービス「統合スマートシップソリューション(ISS=Integrated Smartship Solution)」により、最適航路と航海速度を計算すると同時にAIが天気や波高など周辺環境と船舶を認知してリアルタイムで船舶の操舵命令までを制御する2段階自律運航システムだ。
2段階の自律運航技術は、従来の1段階技術である認知、判断機能に加え、操船や制御まで可能な技術を意味する。目的地を入力すれば航路を選んでシステムが航路に合わせて制御する。運航中に障害物が現れれば、自動的に認識して船が自ら避け、港湾では自動的に接岸する機能もある。
今回の大洋横断でハイナス2.0が搭載された船舶は、最適航路で自律運航し、燃料効率を約7%高める一方、温室効果ガス排出は約5%削減した。また、運航中に他の船舶の位置を認知し、衝突の危険を100回あまり回避した。アビカスは、米国船級協会から今回の自律運航による太平洋横断の結果証明書を受け取り、今年下半期中にハイナス2.0を商用化する予定だ。
現代ジェニュインの系列会社である現代建設機械は、専門作業員なしに掘削機の装備が自ら測量する「マシンガイダンス」(レベル1)と電子油圧制御技術を導入し、地ならし作業を自動的に担う「マシンコントロール」(レベル2)機能を開発し、実用化した。
続いて2025年の商用化を目標に、破裂器・管路・相差など反復作業が可能なレベル3の自動化研究を進めている。
(つづく)
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