2024 年 7月 27日 (土)
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[KWレポート] 危機の韓国・警察大学 (2)

かつての軍内私的組織の様相

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韓国で政権交代のたびに、警察大学のあり方が問う声が持ち上がります。いったい、どこに、どのような問題があるのでしょうか。MONEYTODAY記者が掘り下げました。(シリーズ2/5)

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)政権発足後は、イ・サンミン行政安全相が先頭に立った。

イ・サンミン氏は7月26日、その3日前に開催された全国警察署長会議について、パク・チョンヒ(朴正熙)大統領時代に軍内にあった私的組織「ハナ会」に言及したうえ「特定出身者が主導的に進めているという点でハナ会に準ずる」と指摘した。そのうえで「(政権が)警察を改革しようとしているので、危機感を覚えて組織的に反発している」と話した。

その後、イ・サンミン氏は、その特定勢力を「警察大」だと明らかにした。

そしえ、警察大改革の必要性を提起した。

イ・サンミン氏は8月、首相直属の民・官合同諮問委員会である警察制度発展院委員会を設置し、警察大改革を本格的に議論しようとしている。

◇「派閥」

イ・サンミン氏は2012年、当時の「セヌリ党」の政治刷新特別委員会幹事だった。

当時、政治刷新特委委員長だったアン・デヒ氏(前最高裁判事)は「刷新特委内でも賛否が分かれたが、警察大廃止を求める意見が多かった。下から上まで警察大同窓生が幅をきかせているなど、幹部に偏重があり問題があるという指摘があった」と指摘した。

イ・サンミン氏の警察大廃止の所信が、最近形成されたものではないことを示している。

警察大廃止を主張する人々は「公平性」と「派閥」が問題だと指摘する。

卒業とともに直ちに警察幹部として入職する。入職後には同窓生同士が後押しし、引き上げてくれる。「派閥」を形成し、非警察大出身者を排除するという論理だ。

現行法によると、警察大を卒業した者は、別途の資格試験なしに警衛(警部補に相当)に任命される。警察最下位階級の巡警(巡査)として入職した警察官は、昇任試験を受けない場合、巡警から警長(巡査長)まで4年、警長から警査(巡査部長)まで5年、警査から警衛(警部補)まで6年6カ月勤続しなければならない。

階級別昇任試験が別にあることはある。だが、警正(警視)以下の警察公務員は新任時、1年間は「試補」として任用される。

試補期間には昇任試験を受けることができない。巡警として入職し、試補を経ても昇任試験のためには最低勤務年数を満たさなければならない。巡警(巡査)・警長(巡査長)は1年以上、警査(巡査部長)・警衛(警部補)は2年以上、その階級に在職する必要がある。

なお、昇任した当該年度には昇任試験を再度、受けることができない。

巡警として入職した警察官が地区隊や交番などで昼夜交代勤務をしながら「昼耕夜誦」で勉強し、毎回昇任試験に合格しても警衛になるには4~6年以上の時間がかかるということだ。

一線の警察署に勤めるA警査は「巡警任用後、一生懸命勉強しても4~6年後に警衛になる時には大部分が、家庭を持っている。家庭に気遣って育児と仕事を並行しながら業務が多い地区隊や交番に勤務する者が試験勉強をするのは容易ではない」と訴える。

警察幹部候補生(警幹部)選抜試験で入職したB警正は「警察幹部は多くが大学を卒業してくる人が多いため、年齢が上の方だ。男性の場合、軍役を終えなければならず、女性の場合は家庭ができ、出産を経験する。任用後初期の3~4年の間に警察大出身者と昇任条件で差が大きくなる」と話した。

◇警察大出身は2.5%

第一線の警察官たちは、スタートラインの違いが警察高位職人事での不公平につながると話す。

今年5月現在、13万1394人の警察官のうち、警察大出身は2.5%に過ぎない。一方、この4年間で、警務官(警視長に相当)昇任者のうち警察大出身者は68.8%に達した。

警察大出身者はスタートラインに先んじたことに加え、高位幹部に向かう中で「同窓人脈」が再び有利に作用するという主張も出ている。

ソウルの第一線の署に勤務中のD警正(警視に相当)は「警正以上は審査を通じて昇任しなければならないが、警大出身者は昇任審査担当者と関係が近い人が多いのが事実だ。地方庁と本庁に勤め、互いに兄弟のような関係となる場合が多い」と話した。

警幹部選抜試験で入職したE警監(警部)は「警幹部出身者の中にも名門大出身者もたくさんいるが、私たちは警察大のように4年間合宿をしたのではなく、粘り強さが少ないのは事実だ」と話した。

(つづく)

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