2024 年 10月 10日 (木)
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[KWレポート] 優雅な海外逃亡生活 (2)…財産回収、身柄引き渡しにも壁

ソウル警察庁サイバー捜査隊が昨年9月23日、5カ月間の追跡の末、140億ウォン台の仮想資産ハッキング被疑者A氏(40代・男)をフィリピン現地警察と協力して逮捕、仁川空港を通じて国内に強制送還している(c)NEWSIS

海外に逃亡した犯罪者の身柄を確保し、隠匿財産を回収するためには、海外との連携強化が必要だ。

具体的には、米国などの友好国はもちろん日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など近隣国と共助体制を構築する必要がある。検察幹部と実務陣が定期的に意見交換や協議ができる常設機構の設置も一つの案だ。

◇国家間の協力構築が必要

賃金123億ウォンを未払いだった疑いが持たれ、米国に逃避したソンウォン建設のチョン・ユンス元会長の場合、5カ月後に米国司法当局に逮捕されたが、すぐに保釈手続きを経て釈放された。2019年に自主帰国するまでの9年の間、豪華な逃避行脚を続ける姿を、ただ見守るしかなかった。

一方、韓国下着大手サンバンウルグループのキム・ソンテ前会長を検挙するまでの過程は、国際刑事協力の成果を示す事例として、検察や警察関係者らの間で注目されている。

検察の動きとしては、水原地検のキム前会長捜査チームに投入されたチョ・ジュヨン最高検察庁国際協力担当官(部長検事)が昨年12月初めにタイを訪問した。チョ氏は、犯罪人引き渡し・刑事司法共助分野の専門検事(ブルーベルト)認証を受けた優秀な検事だ。

イ・ウォンソク検察総長も同月、駐韓タイ大使と面会し、金元会長ら海外逃避犯の送還に協力してほしいと要請した。

警察関係でも、現地タイに派遣したコリアンデスク(韓国人事件担当駐在員)を通じて昨年12月、キム前会長の動向に関する情報を入手し、検挙を後押しした。

ある検察出身の関係者は「国家間の共助体制が強化されれば、ハイマートのソン・ジョング元会長やテラフォームラボのクォン・ドヒョン代表ら、大物海外逃亡犯を検挙することは容易になるだろう」とし、「ボイスフィッシングや麻薬など犯罪が国際化されていることも念頭に、国家間の対応力を強化する機会になる」と話した。

◇国内送還率40%

サンバンウルグループの不正疑惑の核心人物であるキム・ソンテ前会長の場合、逃亡8カ月後にタイで拘束され、国内送還となった。これに先立ち、キム前会長の義弟でありサンバンウルグループ「金庫番」キム某氏も、不法滞在者として現地で逮捕された。強制追放に対応する法的手続きを進めているが、国内送還までは時間がかかるとみられる。

セモグループのユ・ビョンオン前会長(故人)の長女ユ・ソムナ氏は、2014年4月に起きた大型旅客船「セウォル号」沈没事故の直後、検察の出頭要請に応じず、フランス・パリで逮捕された。セモグループは、セウォル号の運航会社を抱える大規模な企業グループだ。

ユ氏に関しては、犯罪人引き渡し裁判で韓国への送還が決定したが、ユ氏側が決定への不服訴訟を提起したため送還が遅れた。逮捕から3年後の2017年6月にようやく国内に送還された。

韓国法務省と捜査機関は、海外逃亡犯の検挙に総力を上げているが、所在を把握して検挙に成功したとしても、国内に連れてくることは容易なことではない。国内への「送還率」が低いことを狙って、海外に逃避する犯罪者が後を絶たないのが現実だ。

警察庁の集計によると、2018年から昨年8月まで海外逃避事犯は3781人、国内に送還された逃避犯は1583人だ。送還率は41.8%に止まる。

捜査機関が犯罪者が海外逃亡した事実を確認すると、裁判所から逮捕令状を取り、入国時の通報措置、外務省を通じたパスポート無効化措置などを取る一方、国際刑事警察機構(インターポール)に手配を要請し、国際共助捜査に乗り出す。

しかし、犯罪者の滞在場所をリアルタイムで把握することは容易ではなく、協力に積極的でない国に逃避した場合は、所在を把握しても迅速な検挙は期待できない。

「テラ・ルナ」問題の中心人物であるテラフォームラボのクォン・ドヒョン代表が、検察の捜査を避け、東欧セルビアに逃亡した。セルビアはインターポール捜査協力に積極的ではなく、韓国との犯罪人引き渡しの前例もない。クォン代表はこうした点から、セルビアを逃亡先に選んだとみられる。

国家間の要請による犯罪人引き渡しの場合、手続きは複雑だ。韓国法務省が犯罪人引き渡しを請求すると、現地の司法当局が関連資料などを基に犯罪容疑があるのか、国内に送還する必要があるのかどうかなどを検討する。国内法上は犯罪行為とされても、現地で犯罪として認定されなければ送還決定が出ないこともありうる。現地の司法当局が引き渡しを決めても、犯人が不服訴訟を起こせば、最終送還まで相当な時間がかかる場合がある。韓国の犯罪人引き渡し審査は単審制だが、2審制や3審制を選ぶ国もある。

検察幹部出身のある弁護士は「海外に逃避すれば全く方法がなかった過去に比べれば、捜査共助は大きく改善された。しかし、依然として国家間の親密度によって捜査協力への度合に差が大きい。国際共助を円滑にする検事間のネットワークを拡大するなど、司法外交面での努力が必要だ」と話した。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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