2024 年 3月 4日 (月)
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[KWレポート] 仮想人間/メタバース専門家座談会(1)

「老けないCMクイーン」登場

「リル・ミケーラ」(左)と「ロージー」©MONEY TODAY

現実空間とデジタル仮想空間が一つになるメタバースの世界。大多数の企業が今、自社サイトを持つように、今後それぞれの「メタバース環境」を構築するという将来像も語られています。AI仮想人間とメタバースの現状と展望を3人の専門家に読み解いてもらいました。(シリーズ1/計3回)

《座談会参加者》
・パク・ジウン 「False 9」代表
・チョン・ジフン 「みんなの研究所」最高ビジョン責任者(CVO)
・キム・ガヒョン 韓国第1号TikToker/「ニューズ」代表

世界で著名な仮想インフルエンサー「リル・ミケーラ(Lil Miquela)」はインスタグラム、TikTok、YouTubeに百万単位のフォロワーを持ち、2020年には1170万ドルを稼いだ。韓国の「ロージー(Rozy)」も2021年9月の段階で10億ウォンを超える収益を上げ、「広告クイーン」に浮上した。

数多くの仮想人間が今、世界中で活動している。いずれも人工知能(AI)技術が進化したゆえ、世に出ることができた。1998年に韓国で話題となったサイバー歌手「アダム」のころと比べると、技術力水準には雲泥の差がある。実際、ロージーは自らの正体を明かすまで、誰も「仮想人間」だと思わなかった。

仮想人間に時空の制約はない。アニメーションやゲームと結びついた知的財産(IP)事業への拡張が容易だ。暴力や飲酒運転などのプライベートな問題で広告が中断されることもない。病気にならず、老いもせず、市場(社会)が望むなら、永遠に活動できる。

◇仮想インフルエンサーが浮上するわけ

パク代表 ディープリアル(DeepReal)のAI技術で誕生した仮想アイドルのグループ「Eternity(エタニティ)」の例を挙げる。「成長型アイドル」のコンセプトであり、序盤は足りないところも多く、悪質な書き込みが殺到した。今はファンダム(熱心なファンや彼らによる世界)ができ上り、悪質な書き込みに対処している。

チョンCVO 広告主にとって、広告モデルが仮想人間なのかどうかは重要ではないそうだ。大事なのは利用者側の立場。ゆえに、仮想アイドルだから、という要素によって成否が分かれるのではない。人を使う場合も仮想人間の場合も、一長一短がある。核心は「ファンが喜びそうな要素を作り出したか」という点だ。

キム代表 人気を集める仮想インフルエンサーは、独自の世界観とコンセプトをつかんだ。ストーリー性があり、仮想人間だとしても、拒否感なく受け入れられる。TikTokとコラボするなど現実と混ざり合い、仮想との間を行き来しながらファンダムを確保した。「Eternity」のような成長型戦略が良いようだ。Z世代は、仮想であれ実際であれ、インフルエンサーがともに成長していく姿を目にして達成感を抱く。

◇韓流やKポップの新たなトレンドになるか

チョンCVO 仮想人間の活動は、既存のエンターテインメント産業のやり方とは異なる。ゲームソフトのジャンルのひとつ「ロールプレイングゲーム」(RPG)のように、ストーリー性を持ち、プレーヤーの演じるキャラクターが成長するというゲームに近い。ファンは単にコンテンツを消費するのではなく、相互作用によりコミュニケーションを続ける。韓国の大手芸能事務所SMエンターテインメントの4人組ガールズグループ「エスパ(aespa)」は、実在の人物と仮想人間を結びつけるというコンセプトにより強みを発揮した。ただ、現実と接点のある世界観での活動に縛られるため、自由度が落ちるというのは短所だ。「Eternity」のような仮想アイドルは、現実と関係のない世界観を作り上げることによって、想像を超えることができる。

パク代表 既存のKポップ産業はこれまで、外見はもちろん人格まで取り揃えた「完成型アイドル」を追求してきた。だが、そのピークにもう達したと思う。これからさらに進化するためには、完璧さの不断の追求より、ファンの参加を促し、ともに没頭しながらアイドルを作り上げていくという要素が必要だ。コンテンツを大量消費できる環境が整っただけに、仮想人間が作り出す新しい世界観と、それに伴う付加価値はさらに高まるだろう。

(つづく)

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