2024 年 7月 16日 (火)
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[KWレポート] 仮想人間が押し寄せてくる(8)

インスタのお姉さんたち、人じゃなかった

仮想人間広告モデル「ロージー」©news1

広告モデルやアナウンサー、銀行員、アイドル――。「人間固有の領域」と思われていた分野で、人工知能(AI)技術により誕生した仮想人間が縦横無尽に活動しています。「彼ら」が切り開こうとしている世界にどのような未来が広がっているのか考えてみます。(最終回)

日本でも仮想人間ブームは到来している。

最も有名な仮想人間はスタートアップ(独自のアイデアで新たな価値を生み出す企業)のAwwが作ったバーチャルモデル「imma」だ。ピンクのボブヘアがトレードマークのimmaは、2018年に初登場し、約35万人のインスタグラムのフォロワーを集めた。2020年は家具メーカー「イケア」などの広告モデルとして活動し、7000万円の収益を上げた。2021年9月には東京パラリンピックの閉会式に登場し、国際オリンピック委員会(IOC)と協力した最初の仮想人間となった。

中国とタイも2021年、仮想人間ブームに合流した。清華大学コンピューター学科とAI企業が「清華大学に入学した新入生」という設定で開発した仮想人間「華志氷」は、2021年9月に9月に中国で公開されるやいなや話題を呼んだ。タイでも2021年9月、同国初のバーチャルインフルエンサー事業者「SIAバンコク」が手掛けた「Ailynn(アイリン)」が登場した。

世界的に、仮想人間が最も多く活用される分野は広告・マーケティングである。企業が望むイメージにきっちり合うモデルにつくり上げることができるうえ、実際の人間と違って時空間の制約なく同時多発的な活動が可能であり、マーケティング効果が大きい。同時に新型コロナウイルス感染症で、人と人の対面接触の機会が少なくなり、仮想人間と実際の人間との境界も曖昧になっている。

米マーケティング分析会社ハイプオーディターによると、仮想人間を活用したマーケティング市場は、2020年から32.5%ずつ成長し、2022年には150億ドル(約1兆6947億円)に達すると見込まれている。同社は、2025年になれば、インフルエンサーを活用したマーケティングの中で、仮想インフルエンサーの占める割合が50%以上になるとも予測している。

こうした広告・マーケティング産業で仮想人間ブームが起こると、一部で規制の動きも出てきた。実質的な規制を設けたのはインド。同国の広告標準委員会(ASCI)は2021年7月、世界に先駆けて「仮想人間を通じた広告に、仮想人間であることを明示しなければならない」という指針を発表した。仮想人間は製品やサービスに対して客観的評価を下すことができない。そんな仮想人間による活動であるという点を伝えることで、消費者側の誤解を防ぐという狙いがある。

インドの動きついて、バーチャル人間情報サイト「バーチャルヒューマンズ」は「一国の政府が、仮想人間を通じたマーケティングと実際の人間のマーケティングが同等であると認めた初の事例だ」と指摘する。「今後、仮想人間を活用しようとする企業や、製作会社による仮想人間の活用方式にも影響を及ぼすだろう」とみている。

(おわり)

「仮想人間が押し寄せてくる」はMoney Todayのチェ・テボム、イ・ミンハ、キム・ユギョン、コ・ソクヨンの各記者が取材しました。

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