2024 年 10月 10日 (木)
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[KWレポート] モバイル身分証の時代 (2)

「実物」なくても金融口座・国内線OK

現行の運転免許証と同じ効力を持つモバイル運転免許証(c)NEWSIS

カカオバンク、新韓銀行、農協、ウリィ銀行など韓国の市中銀行では、身分証のコピーを提出しなくても非対面で銀行口座開設が可能だ。銀行アプリが、モバイル運転免許証と連携し、身元を確認するためだ。銀行窓口を訪れ、モバイル身分証アプリを通じてQRコードを示し、それを撮影すれば、銀行職員は顧客の実名確認ができる。

GS25、CU、Eマート24、セブンイレブンなどのコンビニでは、店員がバーコードリーダ機でモバイル運転免許証のQRコードを認識し、顧客が成人かどうかを確認できる。特別な機械を設置しなくても、酒やタバコを買おうとする青少年を選り分けることができる。

済州道庁では、市民が民願室(住民の要求を受け付ける場所)でモバイル身分証アプリにより、キオスク(セルフ注文・決済の端末)に表出されたQRコードを撮影すれば、民願申請書が出力される。請願人、公務員の業務がいっそう早く、容易になる。

実物の身分証を持ち歩く必要がなくなり、スマートフォンアプリの中に、自動車運転免許証と住民登録証を入れて手軽にいつでもどこでも活用できる。

◇金融業で急拡大

SKテレコム、KT、LGユープラスなど通信大手3社は「モバイル運転免許確認サービス」に続き、「住民登録証モバイル確認サービス」もパス(PASS)アプリで提供。カカオとネイバーも各社アプリを通じて「モバイル身分証」サービスを準備中だ。

こうしたモバイル身分証の導入が急速に拡散している代表的な領域が金融業だ。市中銀行のほとんどが年内にシステム連携を完了する。

今年7月現在、システム構築を完了してモバイル運転免許証を使用できる銀行は、国民、新韓、ウリィ、ハナ、農協銀行、水協銀行、企業、慶南、光州、大邱、釜山、全北、済州の13行ある。窓口を訪問した際、銀行職員が提示したQRコードをモバイル身分証アプリで撮影すれば、金融取引ができる。新韓、ウリィ、農協銀行、カカオバンクなど4行では、非対面による口座開設時にもモバイル運転免許証が利用できる。

このほかにも携帯電話の開通(通信3社直営店)、コンビニ(GS25、CU、Eマート24、セブンイレブン、シースペース)での成人認証、「政府24」会員へのログイン、本人確認サービス加入(トス)、宿泊施設への無人チェックイン(ヤノルジャ)、ネイバーペイ送金など、用途別の多様なオンライン・オフラインによるサービスが提供されている。

韓国の国内線に搭乗する際にも、モバイル身分証で乗客であることを証明することができる。通信3社や韓国空港公社は多数の航空会社とともに、モバイル航空券とモバイル運転免許を結合した「スマート搭乗券」サービスの共同開発も始めている。

韓国産業人力公団が施行する国家資格試験でも、モバイル身分証を活用した身分確認が可能だ。韓国の英語教育企業「YBM」が主管するTOEIC、TOEICスピーキングなど語学試験とIT活用能力試験にも、政府が発給したモバイル身分証(通信3社パスアプリ除外)を活用できる。

ソウルの免許試験場にモバイル運転免許証発給窓口が運営されている(c)NEWSIS

◇画面キャプチャー不可、端末紛失申告時も利用不可

モバイル身分証は、本人名義の一つの端末機にのみ発給される。よって、スマートフォンなど端末機を交換する際には、再びモバイル身分証を発給してもらう必要がある。端末を交換しなくても、モバイル運転免許証の有効期間(3年)が経過すれば、再発行しなければならない。

モバイル身分証は、これまでの実物身分証とは違って、必要な情報だけを選んで提供できるため、個人情報の保護には有効だ。例えば、コンビニで酒類やたばこを購入する際に身分証を提示しなければならないが、モバイル運転免許証では住民番号や住所が露出するわけではない。

モバイル運転免許証には偽造・変造が難しいブロックチェーン技術が使われている。個人情報が暗号化されて保存され、画面をキャプチャーして使用することはできず、盗用の恐れはなく安全だ。スマートフォンを紛失した場合にも申告すれば直ちにロック状態となり、他人への情報露出を防ぐ。

モバイル運転免許証は、これまで無免許運転者の免許証名義盗用問題で頭を悩ませてきたレンタカー業界でも、有効に活用されそうだ。最近はロッテレンタルのカーシェアリングブランド「グリーンカー」が業界初のモデル運営事業体に選ばれた。

グリーンカーのキム・ギョンボン代表は「無免許運転者による免許証名義盗用を防ぐため、カーシェアリング業界では、難しい認証手続きを通じてサービスセキュリティ強化に取り組んできた。モバイル運転免許証は、ネットワークセキュリティの技術力とインフラを基盤にし、デジタルパーソナライズ時代の革新をもたらした」と話している。

韓国情報通信評価企画院は「モバイル身分証市場が定着するためには、利便性・信頼性を高め、完成度の高いサービスを提供することが求められる。より多様な領域でモバイル運転免許証を使用できるよう提携先を持続的に拡大する必要がある。また、利便性を高めると同時に、偽造や変造などを徹底的に遮断できるよう信頼性・保安性を強化することも必須だ」と指摘する。

(つづく)

(c)NEWSIS

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