誕生日プレゼントをもらえなかった13人
韓国の児童虐待申告件数は2020年と比べ、昨年は30%近く増加しています。家にとどまっていた子供たちが再び学校に通い始め、隠されていた児童虐待が明らかになったためとみられています。統計をもとに児童虐待の現状を探ってみました。(シリーズ1/4)
◇子供たちの命を奪った「虐待」
韓国政府が最近発表した「児童虐待年次報告書」によると、昨年の児童虐待申告件数は2020年と比べて30%近く増えた。関連調査が始まって以来、最大規模の増加率だ。児童虐待は繰り返される傾向にあり、昨年だけで40人の子供が虐待で命を落とした。
そのうち、0歳児の赤ちゃんが13人。この子供たちは誕生日も、世の中に第一歩を踏み出すこともできないまま「空の星」になった。
政府は「ジョンインちゃん事件」(ソウルで養子として迎えた1歳の娘を養父母が2020年に虐待死させた事件)のように、全国民の怒りが集中する度に児童虐待政策を改めた。児童虐待に対する認識が高まり、隠されていたケースが続々と表になっている。1人の子供に対する虐待は繰り返され、犠牲になることもある。
新型コロナウイルス禍の長期化は、このような児童虐待の素顔を如実に表した。昨年からソーシャルディスタンスが解除され、水面上に浮上した児童虐待も相当な数だ。世の中で最も恐ろしいとも言える政府の「児童虐待統計」にそのすべての真実が含まれている。
◇申告は10年間で6.2倍急増
保健福祉省が毎年発表する「児童虐待主要統計」によると、児童虐待と判定された事例は、毎年大きく増えている。この場合の児童とは、満18歳未満を意味する。2011年に6058件だった児童虐待判定事例は、昨年は3万7605件に増えた。件数は10年で6.2倍増え、昨年は対前年比21.7%の増加率を示した。
昨年、特に多く発生した。2020年には児童虐待判断事例の増加率が対前年比2.9%だった。しかし、昨年は20%台となった。政府はソーシャルディスタンスの緩和に原因を求めている。同省関係者は「昨年に段階的な日常の回復が始まり、学校など外部で(児童虐待の)危機兆候を発見する事例が前年(2020年)に比べ増加した」と説明した。
新型コロナウイルスの感染拡大で隠されていた児童虐待の実態は、警察庁の「児童虐待発生現況資料」でも明らかになっている。与党「国民の力」のチェ・ヨンヒ議員の事務所が警察庁から受け取った資料によれば、昨年に児童虐待として112(韓国警察の緊急通報用電話番号)に通報された件数は2万6048件だ。2019年は1万4484件、2020年は1万6149件だったが、昨年、爆発的に増えた。
児童虐待と判断された事例のうち、再虐待も少なくない。再虐待は、5年間のうちに虐待が再び発生したケースだ。児童虐待のうち再虐待の割合は年々高まっている。2019年に11.4%だった再虐待の割合は2020年に11.9%を記録。昨年は、虐待と判断された事例3万7605件のうち、再虐待は5517件(14.7%)に達した。
◇児童虐待は死にもつながる
再虐待の加害者は昨年、実父(50.4%)と実母(41.8%)が大半を占めた。再虐待された児童のうち、分離保護措置が取られたケースは24.7%にとどまった。元の家庭に戻る割合は74.4%だ。再虐待の加害者の大半である両親と一緒に生活するということだ。もちろん、分離保護が現実的に難しい点があるのも事実だ。
再虐待の事例を3歳ごとの被害児童年齢別に調べてみると、10~12歳が25.6%で最も多い。続いて13~15歳(24.9%)、7~9歳(19.8%)の順だった。中学生や小学校高学年のように分離保護が難しい子供の数が多いため、全体統計では分離保護比率が低くなるというのが保健福祉省の説明だ。同省関係者は「約25%という分離保護比率が低いとは言えない」と述べた。
児童虐待の悲劇は、最終的に死亡につながることだ。最近5年間に児童虐待で死亡した子供は計191人だ。2019年42人、2020年43人、昨年40人など、最近3年間は死亡者が40人台を記録している。昨年、児童虐待で死亡した子供のうち、0歳児が13人(32.5%)で最も多い。特に2歳以下の子供が全体の47.5%を占める。
昨年に児童虐待で死亡した子供の加害者は、実の親である場合が68.5%と最も多かった。死亡に至らせた虐待の類型は、身体虐待(46.3%)とネグレクト(29.6%)の順だった。児童虐待死の加害者54人のうち、無期懲役の処分を受けたのは1人だった。25年超~30年以下の懲役を受けたのは6人いた。立件できずに捜査が終結したのは10人で、大半が子供を殺害した後、自殺したケースだった。
梨花女子大社会福祉学科のチョン・イクジュン教授は「ジョンインちゃんのような児童虐待で亡くなった子供たちが、ジョンイン法のような関連規定を大きく改善させた」と話した。そのうえで「しかし、まだ行政面で見れば、児童虐待を専門的に担当する職員の勤務環境が劣悪で、専門家の確保が難しい。彼らのための関連予算と人材支援が伴わなければならない」と指摘した。
(つづく)
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