2024 年 7月 24日 (水)
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[KWレポート] サムスン李在鎔の時間 (1)

「言い訳できない」危機、真っ向勝負

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韓国サムスン電子で27日、創業者の孫にあたるイ・ジェヨン(李在鎔)副会長が会長に就任し、新時代を迎えました。イ・ジェヨン氏を取り巻く状況を取材しました。(シリーズ1/3)

◇「命がけでやる」

サムスン電子には前代未聞の危機が押し寄せている。米中覇権争い、ロシアのウクライナ侵攻、為替レート、高金利、物価高など、どれ一つ突破口が見えにくい。果敢な決断と実行のリーダーシップが切実に求められている。

「命がけでやるんです」。5月25日、中小企業人大会が開かれたソウル・龍山の大統領室庁舎前庭。取材陣に会ったサムスン電子のイ・ジェヨン副会長(当時)は今後5年間で、450兆ウォンに達するサムスン電子の投資計画の意味を尋ねる質問にこのように話した。

6月、11泊12日間のヨーロッパ出張を終えてソウル金浦ビジネス航空センターに到着したイ・ジェヨン副会長は「危機克服キーワード」を尋ねる取材陣に「1番目も技術、2番目も技術、3番目も技術だ」と話した。

イ・ジェヨン氏が変わった。

言行に自信がにじみ出る。言葉の選び方に躊躇がない。メッセージも明確だ。職員とのコミュニケーションにも格式ばらない。自撮りを一緒に撮ろうという職員たちに喜んで応じる。サムスン電子だけでなく、金融、インフラなど非電子主要系列会社に対する現場経営にも拍車をかけている。

財界では最近、イ・ジェヨン氏の行動について父親の故イ・ゴンヒ会長の影から抜け出し始めたと評している。真の勝於父(父親を越えるという意味)の道に入ったという話だ。8.15特別復権で経営障害が消え、27日には会長職にのぼりつめた。

ただの平坦な「花道」ではない。米中覇権争い、為替レート、高金利、高物価、景気低迷による需要不振など、いつにも増して厳しい時期だ。先代イ・ゴンヒ氏が永眠して2年が過ぎた今、「イ・ジェヨンの時間」が始まっている。

◇「ファウンドリー世界1位」ビジョン

米中覇権争いの余波で半導体グローバルサプライチェーン自体が再編されている。これまで果敢な投資を前面に出して超格差を維持してきたサムスンの技術競争力は、いつの間にかライバルにとって追撃する可視圏に入ってきた。

新型コロナウイルス感染のパンデミックの間、サムスンの主力産業を支えてきたペントアップ(Pent-up)効果が消え、サムスン系列会社の実績は急落している。主力事業である半導体は酷寒期に入っており、家電も需要不振に苦しんでいる。今月初めに発表したサムスン電子の第3四半期の暫定営業利益は、前年同期比31.73%減の10兆8000億ウォンにとどまった。昨年第1四半期(9兆3829億ウォン)以後、6四半期ぶりの最低値だ。

対外環境はますます不透明になっている。米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」と半導体「チップ4」実務会議、米国の「インフレ抑制法」(IRA)施行など、中国をけん制するための米国の歩みがより一層荒れている。サムスンは中国に半導体生産工場を持っており、輸出比重も高いだけに戦略的判断が必要な状況だ。

危機の度に果敢な投資を通じてライバルとの格差を広げる戦略は、今日の世界トップのサムスンをけん引した原動力だ。イ・ジェヨン氏は5月、今後5年間で計450兆ウォン(国内360兆ウォン)を投資し、8万人を新規採用する投資・雇用計画を明らかにした。この5年間投資した330兆ウォンより120兆ウォン多い歴代最大規模だ。この5年間の営業利益230兆ウォンの2倍に達する。

イ・ジェヨン氏の言葉通り「命をかけた投資」だ。ひとりの専門経営人が下すことができる判断の領域ではない。今年6月、サムスン電子は世界で初めて「ゲートオールアラウンド(GAA)」トランジスタ技術を使った3ナノメートル工程の量産を開始した。2027年には、世界初の1.4ナノ量産を狙っている。このような挑戦的な目標設定が可能だったのもやはりイ・ジェヨン氏の「ファウンドリー世界1位」ビジョンの結果だ。

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◇現場と人材、技術中心の経営哲学

8月15日の赦免復権で、これ以上イ・ジェヨン氏は言い訳ができなくなった。超一流グローバル大企業サムスンを率いる「イ・ジェヨンのニューサムスン」リーダーシップをしっかりと見せる時だ。

現場と人材、技術中心の経営哲学は、イ・ジェヨン氏が危機をチャンスにしていく原動力だ。これを組織的に支えるためには、何よりもサムスンという企業集団全体を調整するコントロールタワーの必要性が高まる。

現在、サムスン電子(事業支援TF)とサムスン生命(金融競争力向上TF)、サムスン物産(EPC競争力強化TF)の3社がそれぞれタスクフォース(対策本部)を設置し、系列会社を管理している。しかし最近、主力事業である半導体・家電部門の業況悪化と新事業部門の競争強化、グローバルサプライチェーン危機など市場変動性に直面し、グループを率いるコントロールタワーの復活が必要となっている。3つの対策本部が個別的に議論する方式が非効率的だという声がサムスン内部でさえ高まっているからだ。

財界内外では、イ・ジェヨン氏が1日も早く会長に昇進すべきだという声も強かった。不確実な対内外環境を突破するための強力なリーダーシップが必要だという理由からだった。

明知(ミョンジ)大経済学科のチョ・ドングン名誉教授は「半導体工場新設や大型買収合併(M&A)の場合、急変する状況に対応するためにはオーナーの迅速な決断が必要だ。止まらない株価下落、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)など海外企業との競争激化、系列会社を眺望するコントロールタワーが必要だという点を勘案すれば、最も重要なのはイ・ジェヨン氏が早急に会長に就任しグループ全体を一つにまとめるということ」と指摘していた。

(つづく)

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