2024 年 7月 27日 (土)
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KIAT院長・誠信女子大教授 特別対談 (上)

対談で発言するミン・ビョンジュ韓国産業技術振興院(KIAT)院長©MONEYTODAY

――理工系女性として大変だったことは。

ミン院長 最大の困難は偏見だった。物理学を専攻し修士・博士の時に実験の方向に進路を決めようと教授の部屋を訪ねた時、教授から返ってきた答えが「女子学生にとっては難しいからもう一度考なおしてみろ」だった。

留学した日本でも同じだった。日本の教授は「理論物理学をするなら他の教授を紹介する」と話した。それでも実験をしたいと言ってやっと「6カ月間実験をしてみて決めよう」という答えを聞いた。それが学科開設後70年で初めて女子学生が研究室に入ってきたというわけだ。私を止めさせようとした教授が後になって「原子核物理実験にも女子学生の繊細さが必要だ」と話したという。

韓国に戻って原子力研究所に入る時も面接で「結婚したら辞めたり、他のところに行ったりするのではないか」という質問を受けた。当時は女性が結婚したり出産したりすれば職場を辞めることが多く、「配偶者を(研究所がある)大田(テジョン)で見つける」と答えた記憶がある。

――ミン院長のような先輩たちが置かれていた環境と比べると、今は変わったことがあるか。

パク教授 まずは院長のような方々が多くのことを変えてくださって、直接的な差別を感じることはなかった。むしろ「そんなことが実際にあったんだ」と驚いている。聞く前までは以前の状況を知らなかったが、(ミン院長が経験したような)直接的な差別は少なくなり、差別的な表現も減ったと思う。

ミン院長 パク教授と私の中間の世代が多く感じたことは出産や育児だろう。女性科学技術人会の活動や国会で最も努力したことは職場保育施設の拡充だ。10年前の話なのに職場や政府出捐研究所、国立大学にいらっしゃる女性たちが最も多く語った辛さは「職場保育施設がない」ということだった。認識や文化など改善すべきことが多い。

――教壇に立つと10~20代の学生たちの悩みをもう少し分かるようになるようだが。

パク教授 「数学ができないのですが、コンピューターができないですが、理工系に行ってもいいですか?」という質問が多い。進路を決める上で漠然とした恐れを抱いて、挑戦そのものを避けようとする場合が多い。例えば数学の勉強に対する動機付けのために「人工知能を研究するのにも数学が重要だ」という話をすることがあるが、このためにむしろ数学ができなければこの分野への進出が難しいと感じるようだ。

ミン院長 韓国の数学教育が問題解決中心になっているため、「数学ができない」と心配している。実は数学ができないということは、問題を解けないということであって、論理力が劣るというわけではない。数学で重要なのは問題を解く能力ではなく論理力だ。数学が上達するためには、問題解決と関係なく本も読んで新しいことを考える思考力も必要だ。

(特別対談・下へ)

[プロフィール]

◇ミン・ビョンジュ韓国産業技術振興院院長▽1959年生まれ▽梨花女子大学物理学学士及び同大学院修士▽九州大学院理学博士▽韓国原子力研究院団長▽韓国原子力研究院原子力教育センターセンター長▽女性科学技術人会会長▽韓国研究財団非常任理事▽国家科学技術委員会運営委員▽第19代国会議員(セヌリ党)▽梨花(イファ)女子大学基礎科学研究所招聘教授▽蔚山(ウルサン)科学技術院招聘教授▽韓国原子力学会首席副会長▽第32代韓国原子力振興院院長▽韓国産業振興院院長

◇誠信女子大学融合保安工学科准教授▽1990年生まれ▽ソウル大学産業工学科▽ソウル大学工科大学産業工学科博士▽ソウル大学数学基盤産業データ解析研究センター研究員▽カカオ社外取締役▽誠信女子大学知識サービス工科大学融合保安工学科助教授

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