
韓国の化粧品輸出額が昨年102億ドルを記録し過去最高を更新した一方で、“偽物Kビューティー”の流通も急増している。人気製品の外観やデザインを精巧に模倣した偽造品が、SNSや海外の電子商取引(EC)サイトを通じて広範に販売されているためだ。これにより、正規ブランドの信頼性を揺るがす事態も発生しており、韓国企業は対応に追われている。
ブランド保護ソリューションを提供するスタートアップ「マークビジョン」が最近、米国の消費者500人を対象に実施した調査によると、偽造化粧品を購入した人の70.8%が「正規品だと思って購入した」と回答した。
さらに、そのうち43%はSNSを通じて購入し、38%はアマゾンやイーベイなどの米国系ECサイトで購入したと答えた。米国の大手EC企業は最近になって偽造防止策を強化しているが、膨大な取引量の前では監視が追いついていないのが現状だ。
マークビジョン関係者は「悪質な販売者はSNSのアクセスのしやすさを悪用し、魅力的なビジュアルや広告で衝動買いを誘導している」と説明した。
実際、TikTokやInstagramで「#fakekbeauty」などと検索すると、各ブランドの偽物判別法や注意喚起の投稿が相次いで表示される。これらは偽物の被害を防ごうとする海外ユーザーたちによる自主的な情報共有によるものだ。
ある販売者は、人気KビューティーブランドA社のセラムの正規品と偽造品を比較する画像をInstagramに投稿した。その内容を見る限り、外観では判別が困難なほど似ていた。ほかにも、B社の日焼け止めスティックやC社の美容液など、パッケージから容器デザインまで酷似した偽造品が紹介されている。
これを見た海外ユーザーからは「最近買ったもの、偽物だったかも」「見分けがつかない。もっと注意が必要だ」といった反応が寄せられた。さらに、中国最大級のECモール「アリ・エクスプレス」で「シャドウ」と検索すると、韓国ブランドのカラーやデザインを模した製品が大量に出てくるという。
こうした偽造商品の流通により、正規ブランド企業が消費者からのクレームや信頼失墜といった被害を受けるケースも相次いでいる。とくに染毛剤やマニキュア、スキンケア用品など、安全性が求められる製品は韓国の食品医薬品安全処の認可を得て販売されるべきだが、SNSで販売される商品についてはその確認が難しい。
ある化粧品ブランド関係者は「中国や東南アジアでは、模倣品や賞味期限が迫った商品が流通しているとの情報は把握しているが、市場が広すぎて効果的な対策を講じるのが難しい。悪質な業者による精巧な偽造技術が日々進化しており、引き続き警戒を強めている」と語った。
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