
韓国のビューティー業界が、トランプ米大統領の追加関税の動きに神経をとがらせている。米国が8月にも韓国製品に最大25%の追加関税を課す可能性があると示唆したことで、米国への輸出依存度が高いKビューティー企業が慎重な姿勢を見せている。
ただ、業界内ではこの関税が短期的な衝撃にとどまる可能性が高く、Kビューティーの根本的な競争力を損なうことにはならないという見方も強い。
実際、韓国の大手化粧品メーカーであるアモーレパシフィックは、北米法人の売り上げ原価に若干の影響が出る可能性を認めつつも、企業全体の収益性には致命的ではないと分析している。同社関係者は「ブランドごとに価格の敏感度や競争状況を多角的に分析しており、必要に応じて価格調整やマーケティング費の再配分をする」と説明している。
また、美容機器分野で世界的なシェアを持つAPRも、コスト上昇より中長期的なモニタリングと戦略対応を優先している。APR関係者は「トランプ氏が8月1日に最終判断を延期したという観測もあるため、引き続き状況を注視し柔軟に対応していく」と語った。
ODM(製造受託)を担うコスマックスは、米国法人と本社の連携体制により、顧客の需要に応じて生産拠点を調整できる柔軟な構造を構築している。同社関係者は「韓国製品だけに関税が課されるわけではなく、化粧品は高価格帯商品でもないため、価格への影響は限定的」とし、顧客のニーズに応じて対応するとした。
ただ、米国内での現地生産拡大については、業界内でも意見が分かれている。韓国国内の生産技術や品質が高い一方で、米国の人件費や管理費の負担は大きく、無理な現地化は逆効果になりかねないとの指摘もある。ある業界関係者は「米国の労働力に対する期待値や文化的な障壁も大きく、国内インフラを活用した対応のほうが費用対効果の面で合理的だ」と述べた。
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