
韓国国内の消費不振で百貨店業界が足踏みする中、訪韓外国人観光客の買い物需要が新たな成長の原動力として注目されている。特に20~30代の若年層を中心に、百貨店を訪れる外国人客が急増しており、「体験型消費」や「Kコンテンツ」を前面に出した戦略が功を奏していると分析されている。
現代百貨店によると、2025年1~7月の「ザ・現代ソウル」における外国人売り上げの比率は15.0%、また1~5月の「トレードセンター店」は15.8%に達した。
注目すべきは、その割合が年々伸びている点だ。ザ・現代ソウルの外国人売り上げ比率は、2022年が3.3%、2023年が9.7%、2024年が14.6%と推移し、トレードセンター店でも2022年の4.2%から、2023年には12.2%、2024年には14.0%と着実に増加している。2025年にはいずれも15%台に到達し、安定した集客基盤を築きつつある。
他の主要百貨店でも、外国人売り上げの比率は概ね10%前後に達しており、業界全体としてインバウンド需要が下支えとなっている構図だ。
一方で、現代百貨店の年間売り上げ成長率は2022年が8.8%、2023年が4.9%、2024年には1.3%にとどまり、国内需要が頭打ちになる中、外国人需要の成長がより際立っている。
この背景には、従来の観光地巡り型の旅行から、「楽しみ・体験・韓流文化」などを重視する「体験型消費」への移行があるとされる。百貨店が単なる買い物の場ではなく、韓国文化を楽しむ複合空間として認識されるようになってきたのだ。
例えば、ロッテ百貨店では5月に「LTMアートフェスタ」を開催。スタンプラリーやピクセルアートなどの体験型展示を通じて、外国人観光客の関心を引いた。7月にオープンしたK-ファッション専門館「キネティック・グラウンド」では、多くの外国人がオープン初日から殺到し“オープンラン”状態となった。
新世界百貨店の「新世界スクエア」では、K-カルチャーの映像コンテンツが上映され、観光客が集まるスポットに成長している。
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