韓国で昨年、労使の対立で苦しんでいたIT業界が、社内コミュニケーションの強化に乗り出した。「代表訓話」伝達の窓口とみなされていた社内の広報セクションが、代表と社員の橋渡しになるという。
業界では、社内でのいじめや人事評価、補償に対する社員の不満が匿名掲示板「ブラインド」に書き込まれるという状況が起きている。このため、社内コミュニケーションを強化することで社員の理解を促し、悪材料の低減を図るための措置とみられる。
◇コミュニケーションチャンネルの拡大
業界関係者によると、ネット大手のカカオは最近、「社内コンパート(コミュニケーションチーム)」を新設した。従来の「HR(人事管理)」部署の担当という形態を改め、新たな組織を立ち上げた。社内コミュニティ「アジト」で社員と意思疎通を図ってきたナムグン・フン代表の哲学が反映された形だ。
社内コンパートは、ナムグン代表と社員の間で、小規模なオンライン、オフラインの集まりを主宰している。
サービスやマーケティング、企業文化からメタバース、AI、ESGに至るまで、社員が決めたテーマに沿って、社員5人ずつがナムグン代表と意見交換するというもの。社員が自由に意見を表明できるよう、匿名オープンチャットルームを用い、ナムグン代表自ら回答することもある。既に会合は20回開かれている。
社内コンパートでは、経営陣の決定事項をいち早く社員と共有するため、役員・職員間のテレビ会議をオンラインで生中継している。この時、オープンチャットルームを用いて、役員・職員間でのリアルタイムの質疑応答も進められている。
カカオ関係者は「テレビ会議に参加できなかった社員のために録画映像を別途公開し、会社がどの方向に進んでいるのかに関して透明度を高めている」と話している。
◇組織文化もブランディング
ネット大手ネイバーも、社内コミュニケーションを担当する「インターナルブランディングチーム」を大幅に補充した。
チェ・スヨン代表が、就任後2カ月連続で開いた社内懇談会「コンパニオンデー」も、このインターナルブランディングチームが手掛けている。
コンパニオンデーは経営陣の訓話ではない。役員・職員による自由な質疑応答の場として知られている。最近、第2社屋「1784」に設けた社員のための空間の企画も、インターナルブランディングチームが主導した。
ネイバー関係者は「他の会社より、組織文化に関連した部署の規模とパワーが強い。チェ代表も社員に電子メールをよく送る。『コネクテッドワーク』(Connected Work、社員自らが自由に選択する新しい勤務制)を導入する趣旨を電子メールで説明するなど、内部でのコミュニケーションを自ら取りまとめている」と語っている。
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