2025 年 12月 5日 (金)
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IBM韓国法人トップ「AIは人間を代替するのではなく、能力を高める道具だ」

韓国IBM代表のイ・スジョン氏(c)news1

「AIは人間を置き換えるものではありません。人間の判断力や創造性を補完し、強化するツールです」

こう語るのは、韓国IBM代表のイ・スジョン氏。11月26日、ソウルにあるIBM本社での単独インタビューで、AI時代における倫理と信頼の重要性を強調した。

IBMは早くも1950年代から人工知能の研究を続けてきたが、昨今の生成型AIブームとは一線を画す。イ・スジョン氏は「我々は『なぜAIをつくるのか』という問いから始める」とし、性能競争よりも「倫理フレームワーク」の整備を重視していると述べた。

IBMが掲げる「グローバルAI倫理原則」では▽データの所有権は顧客にあること▽AIは人間の補助・強化のための技術であること▽アルゴリズムの透明性を確保すること――の三本柱を提示している。

イ・スジョン氏によれば、社内でもAI利用ガイドラインを設け、業務効率の向上のためにChatGPTやGeminiなどの外部ツールを活用する際は「WatsonX」プラットフォームを介して利用するよう指導している。重要データの漏洩を防ぐため、毎年社員向けにAI活用を教育しているという。

また、IBMは米メタやインテルなどと共に「AIアライアンス」を結成。安全で透明なAIエコシステムの構築を目指し、各国政府、大学、研究機関、スタートアップなど100以上の機関と連携している。韓国からはカカオも参加しており、最近では韓国語の安全データセット「AssurA」を開発し、オープンソースで公開した。

イ・スジョン氏は「今の時代、すべてを一社で開発するのは不可能。信頼できるパートナーと連携しなければならない」と述べ、中小企業にとっても技術連携や検証済みモデルの活用が有効な手段であると助言した。

「AI時代は不確実性に満ちています。だからこそ、データの安全性・アルゴリズムの公正性・プライバシー保護といった基本原則を堅持し、信頼できる企業と共に未来を切り拓いていきたいのです」

最後にイ・スジョン氏は「IBMはかつて『技術力の会社』として顧客に選ばれてきましたが、今後は『お客様の成功を支えるパートナー』として進化していきたい」と語った。

イ・スジョン氏はオラクル、アマゾンウェブサービス(AWS)などを経て2023年にIBMへ復帰し、今年7月に韓国法人の代表に就任している。

(c)news1

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