ファウンドリー2位の韓国サムスン電子も、第1四半期のカンファレンスコール(決算報告の電話会議)で「モバイルだけでなく、HPCや自動車などの分野で顧客を確保し、資産構成の改善に取り組んでいる。先端工程の堅調な需要を土台に、持続可能な成長をしている」と強調し、一部で伝えられていた生産プロセスの歩留まりを一蹴した。
高性能半導体需要がファウンドリーの売り上げに占める割合が大きくなり、微細工程競争はさらに激化する見通しだ。HPCなど高性能半導体は大部分で回路幅7ナノ以下の微細工程を経ることになる。ただ、これを提供できるファウンドリーはサムスン電子とTSMCだけだ。
TSMCは昨年末、高性能コンピューティング需要を狙ってHPC用5ナノメートル工程である「N4X工程」技術を公開している。これは回路幅5ナノより最大15%速く、最大4%向上した性能を提供する。
サムスン電子は先月初め、米インテル出身のスーパーコンピューターの専門家、ロバート・ウィスニエフスキー(Robert Wisniewski)氏を副社長に迎えた。ウィスニエフスキー氏はサムスン総合技術院傘下の米国システムアーキテクチャ研究所を率いる。メモリーだけでなく半導体設計の強化も試みたという見方もある。
サムスン電子とTSMCいま、3ナノ工程の量産をめぐって競争を繰り広げている。
サムスン電子は第2四半期中に、従来の「フィンフェット(FinFET)」という技術よりも、高性能・高効率と評価される次世代3ナノGAA(Gate All Around)構造の製品を世界で初めて量産する予定だ。一方、TSMCはフィンフェットを維持しつつ、下半期に3ナノ工程の量産を計画している。
業界では、計画通りに進めば、サムスン電子のGAA3ナノ量産が、ファウンドリー業界の順位を覆すゲームチェンジャーになる得る、という見方も出ている。
半導体業界関係者は「ファウンドリーで、メモリー向け売り上げが減り、サーバー向けが大きく成長する傾向がある。収益性もさらに高い。それゆえ、ファウンドリー産業の新しい成長の原動力になるだろう」と見通している。
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