2025 年 11月 15日 (土)
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GPU26万枚を手にした韓国、官庁縦割り超えねば「AI先進国の道」はない [韓国記者コラム]

(c)news1

韓国がAI強国への跳躍に向けて、最大のボトルネックだった「演算資源不足」の壁を越えようとしている。米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が、グラフィック処理装置(GPU)26万枚を韓国に優先供給することを約束したからだ。だが、次の課題は「政策のボトルネック」――すなわち、省庁間の縦割り行政をどう乗り越えるかだ。

このうち5万枚は韓国政府が確保し、残る21万枚はサムスン、ネイバー、現代自動車、SKなどの主要大企業に割り当てられる。つまり、スタートアップ、中小企業、大学、研究機関が頼れる演算資源は、政府保有分の5万枚に限られる。

このGPUを「誰に」「どれだけ」「どのタイミングで」配分するかが、今後の韓国AIエコシステムの成否を左右する。

現在、韓国のAI関連政策は、科学技術情報通信省と産業通商資源省が分担している。科学技術情報通信省は基礎研究やインフラ整備、産業通商資源省は製造業など産業への応用をそれぞれ管轄する。

この「ツートラック構造」は、政策現場ではしばしば摩擦を生んでいる。ある官僚は、「産業省は技術を知らず、科学技術省は現場を知らない」と語る。両省庁の“言語”も、重視する時間軸も異なる。産業省は現実(現場)を重視し、科学技術省は未来(研究)に目を向けている。

2025年8月、両省の閣僚・次官がAI分野での協力強化を宣言した。だが、よく考えればこれはおかしな話だ。両者は毎週、国務会議(閣議)や次官会議で顔を合わせているにもかかわらず、改めて「協力を約束」しなければならなかった。それは、日常的な協力が機能していない証左でもある。

これまで両省は「開発は科学技術省、現場応用は産業省」という“リレー型R&D”を強調してきた。しかし現在のAI分野、とりわけロボットやフィジカルAI分野では、その方式はもはや通用しない。演算チップ、AIアルゴリズム、試作品の投入、現場データのフィードバック、再訓練という一連の工程がリアルタイムで同時進行する。従来の「まず作って、あとで使う」モデルは時代遅れとなっている。

さらに、GPUを大量に使用するには莫大な電力を消費するため、気候エネルギー環境省も政策調整に関わることとなる。こうした構造の複雑化を受けて、大統領直属の「国家AI戦略委員会」が設置されているが、民間を含めた「官民連携協議体」は過去にも設けられてきた。だが、問題は「スピード」だ。

韓国は今、追従者ではなく「先行者」になれるチャンスを手にしている。26万枚のGPUは、いわば“珠玉の真珠”だ。だが、それを「つなげる」ことができなければ、単なる“GPU倉庫”にすぎない。

「GPUはもう手に入った。残された課題は、それをどう活用するか」。このチャンスだけは、二度と逃してはならない。それが、今の韓国AI政策に向けた切実な警鐘である。【news1 キム・スンジュン記者】

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