
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領が、就任後初の多国間外交舞台となる主要7カ国(G7)首脳会議に出席し、本格的な外交デビューを果たす。韓国を取り巻く外交課題が山積する中で、特に日本・米国・中国という三大国との関係設定が注目されている。
韓国外務省などによると、イ・ジェミョン大統領は6月15日から17日にかけてカナダ・アルバータ州で開かれるG7首脳会議に招待国として出席する。期間中には、トランプ米大統領と初の対面が実現する見通しで、特に関税問題をめぐる首脳会談の開催有無が注目される。
政界では、イ・ジェミョン大統領がG7出席後に米国を訪問し、トランプ大統領との単独での首脳会談を開く可能性も取り沙汰されている。大統領室関係者はこの件について「G7の準備をしっかり進めている」とだけ言及した。
◇最大の外交懸案:米国との関税協議
イ・ジェミョン大統領にとって最優先の外交課題は、対米関税協議の行方だ。韓国は既に米国から基本関税(10%)と品目別の関税を課せられており、さらに国家別の差別関税(15%)が上乗せされ、実質25%の相互関税が適用されていた。現在は米国側の措置により、差別関税の15%が来月8日まで一時的に猶予されている状態だ。
今年4月末に開かれた韓米財務・通商閣僚級「2+2協議」では、7月までに対米貿易黒字の縮小案、非関税障壁の解消、造船業協力などを含む「7月パッケージ」を策定することで合意しており、両国は現在もその細部を協議中だ。韓国では大統領の空白が続いていたため交渉が進まなかったが、政権が本格始動したことで「ビッグディール」実現の可能性も出てきた。
◇対日課題:7鉱区協定の行方
イ・ジェミョン大統領はG7会議に出席する石破茂首相と会談する可能性もある。日韓間の敏感な外交課題としては、日韓大陸棚共同開発協定(JDZ協定)に関する「第7鉱区」問題が挙げられる。
この協定は1978年に締結されたもので、6月22日以降、両国は3年後の協定終了を事前通告できる時期に入る。外交関係者の間では、日本が協定終了を通告し、国際法上の境界が未画定の水域で単独開発に踏み切る可能性があるとして懸念が高まっている。
◇対中課題:黄海の「構造物」問題
中国との間では、黄海の暫定措置水域(PMZ)に設置された「大型構造物」をめぐる摩擦が続いている。中国はこれらの構造物を「深海漁業養殖施設」と主張してきたが、最近は軍事活動の前提で航行禁止区域を設定したうえに、観測用ブイを3基追加設置するなど、一方的な行動を続けている。
こうした中国の動きにより、韓国国内では反中感情が高まっている。一方で、今年10月に慶州で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への習近平国家主席の出席を促すには、韓中関係の管理が不可欠な状況である。
◇問われる外交スタンス
外交関係者の間では、今回のG7首脳会議でのイ・ジェミョン大統領の対応が、今後の韓国外交の方向性を占う重要な指標になるとの見方が出ている。
ある政府関係者は「イ・ジェミョン政権に対しては『反米・反日・親中』という先入観が根強い。理念的スローガンだけでなく、具体的な外交成果を通じてビジョンを示す必要がある」と語った。
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