韓国のソーシャルメディアサービス「Cyworld Z」が24日、故人となった「Cyworld」会員の写真や動画、ダイアリーといった資料を遺族に伝達する「デジタル相続権保護サービス」を始めると明らかにした。
サービス開始の発端は、韓国のトップ俳優の遺族からの申し出だ。俳優は生前、Cyworldミニホームページでファンと交流し、亡くなった後もサイバー焼香所が設けられるなど、Cyworldでの活動が目立っていた。同社は遺族から故人の写真・動画・ダイアリーに対するアクセス権限の付与を求められるとともに、デジタルデータ移管について公式に要請を受けていた。
Cyworld Zは、大手法律事務所の諮問を受け、Cyworldの利用約款を修正するなどの法的手続きを終えたという。修正項目には「会員の死亡時、会員がサービス内に記した掲示文の著作権は、別途の手続きなしにその相続人に引き継がれる」と記載されている。
修正後の約款は既にCyworldの全会員を対象にメールで案内されている。
韓国ではまだ、デジタル遺産について明示している法令がない。ネイバーは唯一、デジタル遺産政策を作り、故人のブログなど公開された情報に対し、遺族のバックアップの要請があればこれを支援している。
世界的にはデジタル相続権が重視される傾向にある。
ドイツ連邦裁判所は2018年、死亡した15歳少女のFacebookアカウントに対し、母親に接続権限を付与する決定を下した。判決は、死亡者が生前Facebookと結んだ契約は遺産の一部なので、両親は亡くなった娘のアカウントに接近する権利があるとした。
また、昨年12月、AppleはiOS15.2バージョンで「デジタル遺産」プログラムを追加した。アップルアカウントの所有者が直接、遺産管理者を最大5人まで指定できるようにしたのだ。
Cyworld Z関係者は「会員3200万人のアルバムには多くの思い出と記憶が含まれている。Cyworld Zは大型法律事務所とともに、デジタル遺産相続権に対する法制化を立法機関に要請するための準備を積極的に進めている」と伝えた。
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